こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。
今週は前回に引き続きe-Social(ブラジル労務)について記載いたします。
ブラジル労働局(Ministério do Trabalho e Emprego)管轄のe-social発行のガイダンス(Manual do Empregador Doméstico – Versão 1.6.1)に則して、e-Socialに関する情報を提供していきます。(e-Social Website:http://www.esocial.gov.br/conheca.aspx)
2 – CADASTRAR EMPREGADOR(企業登録)について
まず、e-Socialにアクセスすることによって、アクセスコードに関する情報(アクセス者の氏名やCPF等)が要求され、また、企業情報として、電話番号と告知などの連絡先となるe-mailアドレスの入力が要求されます。これによって、e-Socialにおけるアカウントの作成が完了します。また、追加情報のオプションとして、企業が使用する(e-Social以外の)外部ソフトウェアの使用の有無などを登録することができます。
登録した企業情報の変更に関しても同ページで対応が可能となっており、適時アップデートが要求されています。
先のブログでの記述の通り、e-Socialはブラジル政府管轄のSPEDシステムの一部であり、あらゆる事業活動を管理する目的で設計された統合システムです。そのため、e-Socialのアカウントの情報は、国税庁(Receita Federal)と統合され、また、FGTSを管理する政府系銀行のCAIXAや、INSSを管理する社会保険庁(Previdência Social)の情報とも統合されます。つまり、この情報の統合によって、所得税、FGTS、INSS等の情報が全て整合されることになります。
e-Socialの目的は、上述にある情報の統合管理だけではなく、企業による労務コンプライアンス順守の監視と、人件費(費用)の精緻な管理による正確な利益および法人所得税の算出が考えられます。昨今、主に製造業に導入が義務付けられているSPED Fiscal Block Kと同様に、企業の事業活動における費用(原価)をシステム上で国税庁が正確に把握することで、既にSPED Nota Fiscalで把握している売上を基に利益を算出し、大まかな利益及びそれに課される法人所得税等の算出が可能となります。しかし、これらの理論は、SPEDに情報が入力されることを前提としており、本気で脱税を考える企業に対してどれ程有効に機能するかは疑問が残ります。また、意図した脱税ではなく、企業の成熟度が低いことから結果として税務コンプライアンス違反を犯してしまう小規模企業にとっては、高度なオペレーションに対応できず、更に違反の可能性が高くなることが予想されます。e-Socialへの順応というテーマにおいて経営者の関心が高まっていますが、SPED全体への順応というより広いテーマに取り組んでいく必要がありそうです。
次回は、3 – CADASTRAR/ADMITIR EMPREGADO(従業員登録)について記載致します。
以上
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