皆さんこんにちは。東京コンサルティング・ベトナムの山口です。
今回も前回に引き続き、個人所得税について、ケーススタディ形式でお話したいと思います。
<Q>
私はベトナム子会社設立にあたり、3年間の任期でベトナムに長期出向をしています。私には、ベトナム子会社からの給与と日本本社からの給与がありますが、日本本社からの給与につき、ベトナムで特に税務上の手続きを行っていません。
この場合に、私は何か税務上の手続きをする必要があるのでしょうか。
<A
ご質問の場合、ベトナム居住者に該当しますので、すべての所得がベトナムにおいて課税の対象になります。
従って、ベトナム子会社からの給与と日本本社からの給与との合計額に基づき、ベトナム個人所得税を計算し、ベトナム国に確定申告・納付をする必要があります。
なお、日本支給分につき日本において申告・納付を行っている場合には、ベトナムにおいて、当該納付額については外国税額控除の対象となります。
ここで、皆様にご留意いただきたいのは、日本で納付しているからといってベトナムでの確定申告・納付を怠らないことです。
仮に、申告・納付を怠った場合、後々ベトナム国において追徴課税の対象となることがあります。昨年、申告を怠ったとして追徴課税が求められたという例もございますので、十分ご留意ください。
また、仮にベトナムでの支払いが一切なく、日本国においてのみ給与が支払われ、日本国において納税しているケースにおいても、同様となります。
個人所得税に関して多くの場合には、一連の処理を指示するのは、おそらく日本本社ではないかと思います。しかし、日越間での個人所得税については、日本本社が把握していないケースも多く見受けられます。
そのため、会社が指示したことを鵜呑みにするのではなく、自分自身で知識やノウハウを身につけ、対応することが求められます。