ベトナムの雇用契約書

労務

こんにちは、ホーチミン事務所の嶋です。
本日はベトナムにおける雇用契約書について、記載したいと思います。

■雇用契約書

ベトナムで人を雇用するにあたっては、雇用契約書と就業規則について整備をする必要があります。労働者との個別の条件については、雇用契約書で定め、会社全体のルールについては、就業規則に定めることになります。就業規則の作成は、10人以下の労働者を雇用する場合に義務付けられていませんが、労務管理を行うためにも、就業規則はどの企業においても作成をするのが望ましいでしょう。


ベトナムでの就業規則はベトナム語もしくは英語で記載されていなければなりません。雇用契約書もベトナム語もしくは英語で記載するケースが多くみられます。また、日本語その他の言語で、労働者への説明用に作成されることもありますが、その際にはどれが主たる契約、規程であるかを明確にしておく必要があります。

■雇用契約書の概要

雇用契約とは、「労働者と雇用者との間における、賃金の支払いを受ける雇用、労働条件および労働関係における双方の権利と義務に関する合意書」のことをいいます(労働法15条)。雇用契約書に労働者との個別の条件についての記載をし、雇用契約書は、書面によって、2通作成し、雇用者と労働者で1部ずつ所持します。なお、3カ月以内の一時的な業務の場合は、口頭で雇用契約を結ぶことも可能となります。

■雇用契約の種類

日本では、雇用契約は期間の定めのない契約と期間の定めのある契約の2種類がありますが、ベトナムでは、期間の定めのない契約の他、期間の定めのある契約の中で、12ヶ月以内の場合と、12ヶ月以上36カ月以内の2種類の契約に分かれ、合計3種類の契約形態があります(労働法第22条)。

①期間の定めのない契約
②12か月以内の契約(季節労働または特定業務に係る期間の定めのある契約)
③12か月以上36カ月以内の契約(期間の定めのある契約)

②と③の期間の定めのある雇用契約は、2回まで(更新は1回まで)しか締結することができません。同一の被雇用者と三度目の雇用契約の締結の際には、期間の定めのない雇用契約を結ばなければなりません。期間の定めのない雇用契約とは、文字通り契約期間を設定することができず、定年退職までの期間雇用を継続することを意味する契約となります。この点は日本の雇用契約書の取り扱いと異なるため、注意が必要となります。

次週は雇用契約の記載内容について見ていきたいと思います。


以上

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