皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループベトナム拠点の清水信太です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「ベトナム会計の特徴①」についてお話していこうと思います。
目次
【ベトナム会計の特徴①】
今週より複数回に分けてベトナム会計の特徴についてまとめていこうと思います。
今回は基本情報をまとめていきます。
1,会計期間
ベトナムにおける会計期間は、原則として、1月1日から12月末日までの暦年とされています。ただし、事前の税務当局への届出を行うことにより、3月、6月、9月末日も決算日として認められます。
12月決算の場合、3月末が監査期限となりますが、多くのベトナム企業が12月決算であるため、監査が集中し、監査人が不足しているベトナムでは監査が間に合わないということも起こりえます。それを避けるために別の月を決算月に選択する方法もあるかと思います。
会計期間に関しては、設立直後の税務局への届け出時に指定することができます。また、設立後でも変更手続きを行うことで会計期間の変更が可能です。
日系企業ですと実務上は、日本の親会社の会計期間と合わせるため3月末日に変更するケースが多くなっています。
また、会計期間は原則12カ月とされていますが、設立初年度に限っては、最大で15 カ月を会計年度とすることができます。
例えば、2023年10月1日に設立を終えた場合で12月末決算を選択した場合、設立日の10月1日から期末の12月31日が3か月以下になるため、この場合は2023年度の法定監査及び年次法人所得税申告の必要が無く、2024年度分として、監査及び申告を行うことが可能です。
2,記帳通貨・記帳言語
記帳通貨に関しては、原則としてベトナムドン建での記帳となります。
ただし、外国との取引が多い企業についは条件を満たしていれば所轄の税務署に通知を行うことにより、外貨建にて記帳を行うことも認められています。例えば、EPE企業は海外との取引がメインとなるので、USDでの記帳をしている企業様が多いです。
外貨建てで記帳する場合、会社の設立後 すぐに所轄の税務署に通知を行う必要があります。また、財務諸表を関連当局へ提出する場合には、VNDへ換算しなくてはならないので、
決算日におけるベトナムの中央銀行の換算レートにより、ベトナムドンによる財務諸表を作成します。
記帳言語に関しては、ベトナム語にて記帳することが必須となりま す。ただし、英語、日本語などのベトナム語以外の言語を併記するこ とが認められています。
また、年次決算書および監査報告書などの会計関連書類はもとより、税務申告書類および行政手続に関する書類はすべてベトナム語に て作成しなければなりません。したがって、外国企業にとっては、社 内報告用または内容の確認のためなどに翻訳をしなければ日本人駐在 員または親会社が理解できず、少なからず負担となっています。
3,勘定コード表
ベトナム会計の最も大きな特徴の1つとして、勘定コード表があげられます。
ベトナムにおいては会計法により企業の記帳の際に使用される勘定科目はすべて指定されています。財務省指定の勘定コード表と呼ばれるものです。
日本では、企業ごとに業種に合わせた勘定科目を設定することができますが、ベトナムにおいては、全業種で統一された勘定科目を使用しなければなりません。これは、同一の勘定コード表により、業種の異なる企業間の比較を容易にすることを目的としています。
勘定コード表の勘定科目にはすべて番号が振られています。
例えば、損益計算書の科目だと売上は511、費用で言うと直接材料費は621、直接人件費は622、最後の結果は911といった形になります。
こちらに関しては次回以降より詳しく解説していきます。
4,会計ソフト
ベトナムでは上記の通り、勘定科目や勘定コードが決められていたり、原則ベトナム語での記帳が必要になるので、日本の会計ソフトやベトナム会計に対応していないグローバルな会計ソフトをそのまま使用することができません。
そのため、ベトナム会計に対応した会計ソフトを購入する必要があります。代表的な会計ソフトとしては、FAST、MISAなどがあります。
また、ベトナムでは会計ソフトを使用して、税務申告書類の作成を行うことはできません。財務省が配布している税務申告ソフトを使用して、各種申告書の作成を行います。
5,会計方針の登録
最後に会計方針の登録という点を見ていきます。
設立登記後、会社は以下に記載されている内容に関して、会計方針という形で規定のフォームに記載の上、税務局へ提出、登録を行う必要があります。一般的に選択されることが多いものも併せて記載しましたので、ご参照ください。
・適用する会計制度:外資系企業はCircular No.200/2014/TT-BTC
・帳簿記帳方法:General Journal
・会計言語:原則ベトナム語。英語等の併記も可
・会計通貨:原則VND。EPE等はUSDも可
・会計期間:12月、3月、6月、9月から選択
・棚卸資産の評価法:加重平均法
・固定資産の減価償却方法:定額法
・会計システム:会計ソフト
迷った時には一般的に多いものを選択しておけば基本的には間違いはないかと思いますが、会計期間等を変えたい場合はここで設定しておくのが一番簡単ですので、注意していただければと思います。
本日は以上になります。
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