皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループベトナム拠点の花嶋拓哉です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「ベトナムの子会社のローカライゼーション」についてお話していこうと思います。
目次
【ベトナムの子会社のローカライゼーション】
主な失敗事例をご紹介しながら、それぞれを解説していきます。
〇ミドルマネジメント層の方向付けを上司にしてしまっていること(理念~定性目標)
意図的もしくは無意識に、ミドルマネジメント層の方向づけを上司にしてしまっている組織もあります。子会社経営だと、海外の親会社から出向できているトップマネジメントもいるので、これだと上司であるトップマネジメントが退職もしくは帰任した際に、ミドルマネジメント層の人たちは目指す方向を見失う可能性があります。そのため、日常的に、短期目標だけでなく、理念、ビジョンなどの長期目標を共有しながら、仕事をすることが必要です。そうすることで、目指すところを見失わずに働いていけます。
〇財務状況の報告の方法が定まっていなかったり、トップマネジメントがキャッシュフローを見れていない。(定量目標~戦略)
どのような価値を与えていきたいかという思いがあっても、具体的な数値に落とし込んだり、どのようにそれを達成するかの戦略を考える前に、財務の状況把握と、キャッシュフロー理解が必要になってきます。そして、それを親会社にもわかる形で報告できているかどうかという点では、親会社目線でローカライゼーションできているかどうかのポイントにもなります。単に親会社の経理担当に現地の財務諸表を送ることなら、どの会社もやっていますが、これではまだ経営のローカライゼーションはできているとはいいがたい状況かと言えます。
〇自分が手を動かしてやってしまうこと(業務:実行)
スタッフとして優秀だった人がやってしまいがちなことです。役職だけが先に上がってしまうと、つい今までの習慣を変えられず、トップマネジメントなのに、ロワーマネジメントのオペレーションの作業に入ってしまっているケースは結構あります。特に子会社だと、自分の上に社長がいないので、ポジションは社長になったが、やっていることは部長だったり、課長だったり、スーパーバイザーだったり、と下部のマネジメント層から上がり切れてない状況が起こったりします。はじめは自分でやれないもどかしさもありしんどいですが、意識的に、自分が作業をやらない意思決定をしなければ、抜け出せない大きな落とし穴となります。
〇俗人化(業務:実行)
ベトナム人の優秀な人にあることですが、自分の知識や経験を他人や組織に残していこうとしないこともあります。それは、おそらくその知識や経験を渡してしまうと、自分の仕事やポジションがなくなってしまうからですとか、単純に視野が自分にしか向いて無い場合などが考えられます。しかし、これでは組織としては良くない状態であり、特定のベトナム人にだけ業務を任せた状態では本当の意味でローカライゼーションとは言えないかと思います。社内の知識が標準化、体系化されてないと、他の人に共有ができないので会社としては非常に人的リスクがあります。この問題をほおっておくと、特にテト等人の流動が激しくなる時期に大きなダメージを食らうこともありますので、事前に、日々、着実に知識や経験の標準化を進めていきましょう。
〇規律や規則が整っていない(業務:実行)
例えば、理念や行動規範、ドクトリン、クレドカード、就業規則やそこから派生する旅費規程や財務規程、昇給規程等、このような規律や規則がないまま、現地に丸投げ、もしくはスタッフに丸投げ、な状態で運営していると、無法地帯化する可能性もあり危険です。逆にルールがあれば、ある程度丸投げしても、社員側で意思決定の材料があるので、それにしたがって行動してもらうことができるので安心して任せられます。また、極端な話、会社の意向からそれていることをしている社員に対しても、「ルールだから」という言い分一言で片づけることもできます。例として、ネットフリックスでは、特に規定はなく自由だといわれていたりしますが、最悪の場合、規律に沿わない、会社が必要とする職務やスキルに合ってない人材であると判断すれば解雇する人材管理の方針があります。成果が上がってなければ会社の方針に沿ってクビになるわけです。ちょっと極端に言いましたが、要は、自由というのは、規律や規則の中に存在します。全く規律や規則が整っていない組織はただの無法地帯なので、ローカライゼーションするにはかなり危険な状態だといえます。
〇社員のモチベーション維持を図ること(業務:実行~成果)
ベトナム人が家族を大事にする傾向にあるからと言って、会社のメンバーを家族的な扱いをし、ベトナム人社員のモチベーション維持に走ると、うっかり顧客へのサービスの質の向上を忘れてしまうことがあります。モチベーションの維持のために食事会やイベントを企画して開催する組織もあるかもしれませんが、本質的な改善にはなりません。その場しのぎの食事会よりも、仕事を通じた小さな成功体験の積み重ねがモチベーション維持につながります。これを仕組化することが重要です。
〇子会社の人事(採用)について、親会社が全く把握していない。(業務:実行~成果)
100%子会社の場合であっても、現地の人事や採用は現地におまかせ、といった会社もあります。そこに意図があればよいのですが、何もなく単に現地のことはわからないからお任せといった理由で把握しておかないのは危険です。最近は会計をクラウド化したり、システム化したり、しながら親会社でも見えるようにすることは進んできていますが、人事や採用の方はまだなケースが多いです。財務の結果を作る要因の一つはヒトですので人事や採用の管理もローカライゼーションしていくうえでは必要です。
皆様の会社ではどうでしょうか。1つでも心当たりのある場合には、今すぐ解決策を検討し、ぜひそれを実行してみてください。
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花嶋 拓哉
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