【ベトナム】コロナ渦中の撤退①~法人閉鎖編~

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ベトナム拠点の花嶋です。
ベトナムのコロナ渦中の撤退をテーマにお送りします。

昨年(2020年)の今頃は、約500人未満程度の感染者数であったところ、今年の同時期の状況は約9万人となっており、2021年もなお新型コロナウイルスの影響が各国で続く中で、ベトナムでは2021年の半ばに入ってから、新型コロナウイルスの影響がさらに広がってきました。
特にハノイやホーチミン等の都市部では街が一時的に社会的隔離措置(ロックダウン)がとられ、その他工場等では住み込みの条件下で運営が許可されていたりと、昨年のコロナウイルス感染状況よりも悪化している状況です。
そんな中で、事業によっては経営が悪化、このまま会社維持をするべきか否かを検討される企業も増えている現状があります。
このままベトナムから撤退するべきなのか否かを検討されている企業様にお役に立てれば幸いです。
今回は、先ず一番初めに検討される「ベトナム法人の閉鎖」について見ていきます。

■主な法人閉鎖のメリット、デメリット
メリット:買い手の心配は不要であること
デメリット:閉鎖完了までの期間が長期間におよぶこと

■スケジュール
約1年~2年程度かかります。
ベトナム政府当局側に、拠点の清算手続を進めるインセンティブがないため、すべての行政手続の完了には、実務上、非常に時間を要すのが実情です。
近年のコロナウイルスの影響で撤退企業数が増える中で、撤退鉄続きを処理する政府局側の手続きが遅くなる傾向にもあります。

▼手続き概要
1)法人の解散決定
2)清算手続き開始に関する通知
3)財産処分
4)債務の弁済
5)税務処理等の手続き
6)事業登録局に対して最終手続き書類を提出
7)事業登録抹消

■実務上の留意点
①労働契約の処理について
使用者が法人である場合、従業員との労働契約終了の交渉は特段不要です。
ベトナムの法律上、勤務期間1年につき、半月分の賃金に相当する金額の退職の手当を支払う必要があります。
ただし、実務上、従業員との紛争を未然に防ぐため、法律上に明記されているものとは別に、従業員に対して一定の金額の退職金を支給し、労働契約の終了の合意書を従業員と会社の間で用意する企業はあります。また、労使紛争を防ぐ目的で人事評価制度の運用に力を入れている企業もあります。

②不動産の処理について
貴社が、ベトナムの工業団地に工場を有する場合には、工業団地から土地使用権のサブリースを受け、工業団地へのリース料は一括前払いしているかと思います。原則的には、工業団地とのリース契約を解約し、リースの残存期間分のリース料を返してもらうことがよいでしょう。
しかしながら、実務上、ベトナムの工業団地側が、一括前払いしたリース料を返すことは想定されていないケースが多いため、料金が返還申請が受領され返還されるのは難しい場合があります。

③債務超過の場合の増資について
法人閉鎖するためには、ベトナムの法律に則って、債務義務を完了する必要があります。
貴社に、債務の完済の資金がない場合、出資者から資金を得た上で、債務義務を完済し、閉鎖を行います。
ベトナムの法律上は、法人の解散決議の後に、増資を行うことはできないとされています。
ただし、実務上、債務義務完了に必要な資金については閉鎖の決定、もしくは税務調査が完了にならないとわからない場合があります。

次回は、資本譲渡による撤退について見ていきます。

ここまで法人閉鎖の概要について見てきましたが、法人閉鎖に関するコンサルティングサービス以外にも、弊社では、ベトナムに関連する企業様に対して、財務&人事コンサルティング、会計、税務、労務、法務等に関する顧問サービスのご提供が可能です。お気軽にお問い合わせください。

Tokyo Consulting Co.,Ltd. Vietnam.
花嶋


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東京コンサルティングファーム
ベトナム ハノイ
花嶋 拓哉


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