シンガポール水事情

投資環境・経済

こんにちは。シンガポール駐在員の和久井です。

シンガポールのシンボルとされるマーライオンは、バックに中心金融街があり、また向かって正面には、カジノリゾート運営会社であるラスベガス・サンズの米会社より建てられた、3棟のホテルが屋上プールひとつで繋がっているマリーナ・ベイサンズがあります。マーライオンは必ず一度は訪れるメイン観光スポットです。そのマーライオンの由来はサンスクリット語でライオンの町と表され、マレー歴代史上でマレー王子がシンガポールを発見した際に獅子を見かける場所とされ、シンガ・プラ(獅子の都)と名付けられたとされています。そのマーライオンから常に吹き出る噴水はもともと海水を利用していたところ、マリーナベイが貯水池となってからは淡水を出すようになったそうです。水を貴重とするシンガポールのもうひとつの深い意味合いの表現なのかもしれません。歴史を遡りますと、イギリスが植民地とした時代に中国本土から流れてきた中国移民はまだ水道が通っていないシンガポールの地で、川から牛を引いて水を運んだとされたところから、チャイナータウンはシンガポールで中国名で牛水車と呼ばれています。

シンガポールは国土が狭い分、その限りから水資源が乏しいとされ、隣国マレーシアより2割の水を輸入しています。隣国と結んだ協定は更新を境に値段が20倍に上がったことで、2011年の更新を選択しなかったとされます。また別の協定では契約期限が2061年までという限定的な条件に、このままではマレーシアに頼りっぱなしとなると考え抜いた政府は、自国で賄う方向へと転換。シンガポールの浄水技術を発達させるべく国家政策として水ビジネスの優遇政策や淡水技術の導入などに取り組んでいます。また現在はシンガポールが購入している水の1/3は、利用した水を浄水した後にマレーシアへ返す(販売する)仕組みを作るなど、下水の再生処理にも力を入れています。2003年には日本の水浄化技術を導入したことをきっかけに、2011年には国内水需要の3割をこの技術を用いて再利用する計画が立てられました。それだけでなく将来飲用に利用できる可動堰式ダム・「マリーナ・バレッジ」も建設。幾度と水供給で悩んできたシンガポールの苦悩を糧に現在発展しつつある水ビジネスモデルが、今後課題とされるアジアの水供給の解決の突破口を開いていくのかもしれません。

以上

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