現地法人設立の手引き(日本側)②

法務

みなさん、こんにちは。

東京コンサルティングファームの伊藤澄高です。

 

今週は前回に引き続き、現地法人設立の手引きを執筆いたします。

前回までの詳細な内容は5月15日分のブログをご覧ください。

 

前回のご質問

Q:フィリピンで現地法人設立することは決まったが、どのように手続きしていくのでしょうか?

 

A:前回の続きから回答していきます。

⑤【現地法人の役員】

  会社役員の選定は基本会社法に準ずる形で決定されます。しかし、フィリピンではネガティブリストに該当する業種の場合、「アンチダミー法」が追加で適応されるために規制内容が複雑になります。

 

取締役(最低5名)

前回執筆した通り、取締役は最低5人でそれぞれ1株以上の引受が必要になります。かつ取締役の半数がフィリピン人でないとなりません。更にアンチダミー法により、規制業種に該当する場合は外国人の取締役における構成比率はネガティブリストの上限出資比率を超えてはならないというルールがあります。

 

例えば広告業の場合、ネガティブリストの規制業種に該当する上に出資比率は30%であります。取締役5名の場合・・・

〇 外国人1名 フィリピン人4名 (外国人20% フィリピン人80%)

× 外国人2名 フィリピン人3名 (外国人40% フィリピン人60%)

 

となります。

 

代表取締役(社長)

会社の代表でフィリピンでは社長というのが普通です。外資40%までの会社の場合、社長はフィリピン人でなくてはなりません。

財務役

会社の会計責任者であり、1名以上の設置が義務付けられます。取締役との兼任が認められています。また外資40%までの会社の場合、財務役はフィリピン人でなくてはなりません。

秘書役

秘書役はフィリピン居住者であるフィリピン人を選任しなくてはなりません。弁護士などに依頼することが望ましいとされていますが、理由としては役員変更等会社のコンプライアンスに責任を持つのが秘書役であり、法律に詳しい者が適切であるからです。

 

⑥【定款】

定款には社名、登記場所、存続期間(最長50年)、発起人、取締役、授権資本金額、引受資本金額と払込資本金額、財務役の任命を記載します。記載内容は法定されているものが多くあるため、コンサルティング会社や弁護士事務所が所有しているSECのフォーマッ

トを基に作成していきます。付属定款には株主総会、取締役会、会社役員と会計年度を記載するようにします。

 

⑦【定款に記載する事業目的】 

定款へ記載する事業内容目的はネガティブリストの規制と強く関係しており、外国人取締役の比率等など会社の期間設定に大きく影響を及ぼすので、表現の検討を慎重に行わなくてはなりません。SECのウェブサイトで競合他社の定款を眺めてみて、株主構成、資本金はどうなのか、事業目的はどう書いているのだろうと事前に調査することが望ましいと考えられます。定款の書き方次第でSECが外資規制にかからないと判断する事例もあります。

 

⑧【登記登録に必要な書類】日本の親会社が用意する必要があります。

・取締役就任予定者のパスポートコピー

・親会社の登記簿謄本の英語訳(TIN(納税者)番号取得のため)

・親会社の定款・付属定款の作成及び必要箇所へのサイン

・財務役の宣誓書等SEC登録に必要な書類の作成と必要箇所へのサイン

 

以上が手続きの流れとなります。

それでは今週もよろしくお願いします。

 

東京コンサルティングファーム

伊藤澄高

 

 

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