遅刻の控除時や割増賃金計算方法

労務

TCFフィリピン駐在員の榊原です。

今回のブログでは「遅刻の控除時や割増賃金計算方法」についてのご質問にお答えします。

 

Q. 法定やDOLEのハンドブックで提示している遅刻の控除時や割増賃金計算方法を知りたいです。また、元になる根拠条文についても提示していただければと思います。

 

A. DOLEのハンドブックで提示されている計算方法は下記となります。

【遅刻控除】

月額給与×12ヶ月÷365日÷8時間÷60分×遅刻した時間(分)

なお、遅刻した時間に関しましては、通常15分毎か30分毎で計算されているように思います。

【割増賃金】

月額給与×12ヶ月÷365日÷8時間÷60分×割増率適用時間(分)×割増率

 

上記の365日については、もし割増賃金の計算がほとんど必要なく、控除がメインなようでしたら、週休2日であれば261日を、週休1日であれば313日を使用されると良いかと思います。

 

また、こちらの「月額給与」ですが、従業員に付与されている手当の種類によって「月額給与」に含まれるかどうかが変わることになります。種類としてはFacilityとSupplementの2種類があります。

Facilityの場合というのが、雇用契約書で具体的に金額も含め手当が記載されている場合で、この場合には月額の内訳として記載されているすべての手当を含めて計算することになります。

例えば、雇用契約書で下記のような内訳を提示している場合には、基本給の20,000 PHPではなく、報酬総額である22,600 PHPが計算時の「月額給与」の金額となります。

Basic Salary                   基本給                     : PHP 20,000

Laundry Allowance      洗濯手当                  : PHP 300

Rice Allowance           食事手当                  : PHP 1,500   

Uniform Allowance              服手当           : PHP 400

Christmas gifts          クリスマスギフト : PHP 400

Total Compensation             報酬総額        : PHP 22,600

 

Supplementの場合には、手当が具体的に記されていない場合になり、その場合には基本給のみが計算対象になります。

例えば通勤手当を支給していますが、請求ベースで毎月金額が変わる場合ですとか、一時的だったり追加の手当についてはこちらに当てはまります。

 

月額給与の定義に対する根拠に関しましては、法定では下記労働法の90条が該当しますが、より具体的なものとしては下記サイトの判例が挙げられます。

Art. 90. Computation of additional compensation. For purposes of computing overtime and other additional remuneration as required by this Chapter, the “regular wage” of an employee shall include the cash wage only, without deduction on account of facilities provided by the employer.

 

http://www.lawphil.net/judjuris/juri2011/mar2011/gr_172161_2011.html

 

それでは今週もよろしくお願いいたします。

 

株式会社東京コンサルティングファーム

フィリピン支社 榊原 綾

 

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