VAT還付に対する最新の動向

税務

皆さん、こんにちは。

フィリピン・マニラの近石です。

 

 今週のブログはVAT還付に対する最新の動向について書かせて頂きます。

 

 まず、これまで公表されていたVAT還付請求ルール(RMC No. 54-2014)の主な内容は以下の通りとなります。

 

■VAT還付申請から120日以内にBIR側から何ら回答がない場合、否認とみなす(みなし否認)

■RMC No. 54-2014以前は認められていた還付申請後の追加サポート資料の提出が一切認められなくなり、還付申請に必要なすべての書類を申請時に提出しなければならなくなった。また、提出書類に不備がある場合は、還付申請は否認される

■納税者はBIRによる還付申請の否認後もしくは申請時から何らBIRの反応が無く120日経過後、30日以内に税務裁判所(Curt of Tax Appeal:CTA)に提訴することができる

■継続中のすべての還付申請案件に「120日+30日ルール」が適用され、RMC No. 54-2014発行時点でCTAに提訴していない分の交渉が打ち切られる(RMC No. 54-2014の事実上の遡及適用)

 

 RMC No. 54-2014の遡及適用について、各経済団体などからの度重なる撤回要求に対して、ヘレナス前BIR長官の下では全く動きがありませんでした。

 しかし、今般、RR No. 1-2017が公表され、2015年12月8日付けの最高裁判決(G. R. No. 207112)により、納税者はVAT還付申請時にに存在するルールで還付請求を行う権利を有しており、したがって、BMC No. 54-2014が有効になった2014年6月11日より前に還付申請をした納税者にRMC No. 54-2014を遡及的に適用することは納税者の権利を阻害するものであるため認められない、という見解を示しています。

 

これは事実上の、過年度の「みなし否認」案件を救済する措置と言えます。

 

ただし、以下の場合はRR No. 1-2017の適用対象となりません。

 

■内国歳入法122条(A)に規定されている2年間の法定申請期限を過ぎて還付申請が行われたケース

■書面にて還付が否認されたケース

■全額もしくは一部について還付が承認されたケース

■CTAにおいて既に係争中のケース。ただし、CTAへの提訴を取り下げた証明がある場合はこの限りではない

 

該当する企業に求められることは、「みなし否認」とされていたVAT還付請求案件について、継続してBIRとの還付に向けた交渉が可能となるため、まずは当初申請を行った税務署に審査状況の確認を行う必要があると考えられます。また、今後、BIRから還付申請を行った企業に対して還付可否等についての個別通知がなされることが想定されるために、当該通知を受けたのち、BIRによる審査結果を受け入れる、或いはCTAに提訴するかを各企業で判断することとなります。

 

 

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

 

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フィリピン国 マニラ駐在員

近石 侑基

 

 

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