TCFフィリピン駐在員の日比野です。
本日は引き続きフィリピンの付加給付税について触れます。先週は申告について紹介しましたが今回は付加給付税(フリンジベネフィットタックス、FBT)の範囲について頻繁にいただく質問を使って紹介します。
多く寄せられる質問
・フィリピンにおいて福利厚生費は課税対象になりますか?(社員研修旅行等)
・住宅手当・教育費を会社で負担したいが、課税対象になるでしょうか?
・取締役の航空運賃やホテル代は付加給付税の対象となるのか、経費として認められる範囲はどの程度でしょうか?
という内容があります。以下、付加給付税(FBT)の定義も再認識しつつ、回答していきます。
付加給付税(FBT)とは、事業と関連性が低い支出または、個人的な便益とみなされる支出については、会社の経費としては認める一方で、その金額自体を特定個人に対する給与とみなして、当該金額に相当する所得税を会社側が負担する仕組みです。
そのため、事業用途の支出であればFBTではなく、会社経費として認識されることになります。
・フィリピンにおいて、福利厚生費は課税対象になりますか?(社員研修旅行等)
→ 福利厚生費(社員研修旅行)はビジネスに関連している内容であれば、FBTの課税対象外になります。福利厚生費の中でも、通常ビジネスに関連しているとは認められない項目に関しては、FBTの対象になります。そのため、福利厚生費というくくりではなく、費用がどの用途であるかを考慮する必要があります。
・住宅手当・教育費を会社で負担したいが、課税対象になるでしょうか?
→ 上記と同様に住宅手当や教育費については、事業に関連性がないと考えられるため、FBTの対象となります。
・取締役の航空運賃やホテル代は付加給付税の対象となるのか、経費として認められる範囲はどの程度でしょうか?
→ 航空券やホテル代は基本的に事業との関連性が強いことから、付加給付税の対象とならないと考えられます。
例えば、自動車の購入については、従業員のだれでも使用できるような状況であれば会社の経費として扱い、付加給付税の対象となりません。しかし、使用する人が特定されている場合には、FBTの課税対象となります。
家具代金については、賃貸物件用の設備投資であれば、付加給付税の対象となりませんが、個人的に使用する家具の場合には、現物支給の給与として、同様にFBTの課税対象となります。
余談となりますが、コンドミニアムについては詳細規則があり、コンドミニアムとオフィスが50メートル以内であれば、例外的にFBTの対象とならず、経費として損金算入できます。そのため、基本的に50メートル以上離れていればFBTの対象となります。しかし、BIRに対して合理的な説明を記載したLetterを提出し、個別のRulingが取れた場合には、50メートル以上離れていてもFBTの対象外とする可能性もあるようです。
それでは今週も宜しくお願いします!
株式会社東京コンサルティングファーム
国際事業部 フィリピン支社 日比野和樹