フィリピンの税務あるある②

税務

東京コンサルティングファームフィリピン・セブ支店駐在員の日比野です。

今回も引き続きフィリピンの税務調査時のあるあるをお伝えします。

 

前回は「申告漏れ」についてでした。今回は「海外取引における源泉徴収漏れ」についてご紹介したいと思います。

 

フィリピンで事業を行っていれば当然、フィリピン人に経理を依頼するものです。優秀な経理の方であれば、フィリピン国内の税務を完全に理解して日々の会計業務を行ってくれます。そんな方でも海外取引が絡む際には、税務の取り扱いを把握していない場合があります。

 

例えば、源泉徴収税が国内では2%の一般的なサービスがあります。これがフィリピン国外にある法人からのサービスである場合、支払いをするときに30%の源泉徴収をフィリピン法人が行い、最終源泉徴収税(FWT: Final Withholding Tax)として申告をする必要があります。

一つ目の落とし穴が、この税率の差、つまり28%分がFWTとして申告されていなかったことによる、ペナルティを受ける可能性があることです。

 

さらに、この最終源泉徴収税30%は、日比租税条約を適用すれば0%に低減させることが出来ます。そこで租税条約を知識として知っている経理の方が0%を適用します。ただし、この低減税率を受けるためには租税条約の申請(TTRA:Tax Treaty Relief Application)を行う必要があります。もしサービスフィーの支払いまでにこのTTRAが税務局に申請されていなければ、この0%の税率は受けられず、通常の30%の税率が適用されてしまいます。

 

優秀なフィリピン人経理であっても、こういった税務まで把握していないことは、しばしば見受けられます。適用申請が遅れることにより、国税(BIR)と税務裁判になるケースもあります。

 

特にフィリピン国外に対して、サービスへの支払いが発生する会社において、TTRAを適用すること、フィリピン経理担当者にも認識を共有しておくことが重要と考えられます。

 

それでは今週もよろしくお願いいたします。

 

株式会社東京コンサルティングファーム

フィリピン支社 セブ支店 日比野和樹

 

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