こんにちは、フィリピン駐在員の大橋です。
今週のブログは、前回に続きフィリピンにおける閉鎖手続きについてお話しします。
今回は、いざ閉鎖が決定した際にまず検討すべき人員整理とそれに付随する税務処理についてまとめました。
■従業員への取扱い
閉鎖手続きをする際の検討事項として、まず人員整理が上げられます。
フィリピンでは、従業員の解雇がしにくいと言われますが、法律に認められた解雇理由が示され、合法的な手続きを踏んだ整理解雇であれば、特段の問題はありません。
手続きとしては、まず従業員の方への周知、退職手続が必要です。
具体的には、解雇の30日以前にDOLE(労働雇用省)並びに従業員への解雇通告が必要となります。
この手続きは、DOLE側では整理解雇する合法性を調査する期間、そして従業員が失業に備えたり、会社の整理解雇に対して反対する機会を与えるためとして必須の手続きとなります。
実際に整理解雇する際は、Separation payとして、最低1か月分の給与または勤続1年当たり最低0.5か月分の給与のいずれか多い方を解雇金として支払わなければなりません。
なお、上記規定を満たし、自社の就業規則に沿ってそれ以上の待遇を付与することは問題ございません。
■税務上の取り扱い
Separation payの税務上の取り扱いとして、当該所得に対しては非課税扱いとなっております。
2016年に発効されたRMO No.66-2016により、不可抗力を理由として退職する場合の非課税証明書の取得プロセスが明確化されております。
当該証明書の発行を申請する従業員または雇用主は、本通達に規定される必要書類を所轄の税務署(高額納税者の場合はLT Office)に提出することが必要となります。
また、不可抗力による退職の例示として通達上は以下の4つが記載されており、それぞれの項目ごとに、証明書取得のための必要書類が規定されています。
1)労働力削減のための設備の導入(Installation of Labor-saving
Devices)
2)余剰人員の整理(Redundancy)
3)損失防止のための人員整理(Retrenchment)
4)事業所閉鎖もしくは操業停止(Closure or Cessation of
Operation)
主に必要となる書類は、以下になります。
a) 解雇対象となる従業員及び労働雇用省(DOLE)に対する書面による通知
b) 取締役会決議書
当該取扱いについては、フィリピン税法自体にSeparation Benefitsに係る非課税証明書の入手の必要性は規定されていませんが、一方で、RMO No.66‐2016により、これまでの疾病等の場合に加えて、不可抗力による従業員退職の場合の非課税証明書の取得プロセスが明確になった以上、今後BIRによる調査において証明書の提示が求められることも想定されます。
よって、該当するケースにおける非課税処理の根拠として、証明書を入手しておくことは重要と考えられます。
以上、閉鎖に係る従業員への取扱いをまとめました。
次回は、実務的な閉鎖手続きについてお話ししたいと思います。
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今週もどうぞよろしくお願い致します。
大橋 聖也