皆さん、こんにちは。
フィリピン・マニラの近石です。
今週も皆様から寄せられたご質問についてお答えしていきます。
質問)
現在、フィリピンで現地法人の設立を考えています。
様々なツールでフィリピンのことを調べていて、設立するにあたり資本金はいくらが良いか考えています。調べている中でフィリピンでは資本金の種類が3つあることが分かりましたが違いがわかりませんでした。この違いを教えてください。
回答)
お問い合わせいただきありがとうございます。
日本においては資本金といえば、会社設立時に株式を発行することで集めた運転資金のことを指しています。では、フィリピンではどうかと言いますと、フィリピンには確かに3種類の資本金があり、授権資本金・引受資本金・払込資本金と呼ばれています。それぞれ次のような異なる意味を持っています。
・授権資本金…取締役会の権限で新株を発行することができる限度額
・引受資本金…株式の引受契約が締結された金額
・払込資本金…引受契約のうち実際に払込がなされた金額
さらに、次のような条件があり、会社の資本金をいくらにするのかを決める際に注意する必要があります。
・引受資本金額は最大で払込資本金の4倍まで設定が可能、また授権資本金は最大で引受資本金の4倍まで設定が可能。
ここまでの説明でお気付きになられたかと思いますが、フィリピンでは引受資本金と払込資本金の金額が異なることがあります。日本では考えられないことだと思います。実際、日本では全額の払い込みが完了しない限り、株式引受が有効になりません。そのため、引受資本金と払込資本金の金額は一致しています。
ところが、フィリピンでは引受金額の一部の払込が完了していれば、正式に株式引受が有効となるため、引受資本金と払込資本金の金額が異なる状況が生じます。したがって、フィリピンではこれらの資本金を区別しているのです。
また、法人設立ではこれらの資本金に係る種々の費用にも注意しなければいけません。費用の大きなところといたしましては、次のようになっております。
・SEC(証券取引委員会)への登録料…授権資本金の0.2%
・税務署への印紙税…引受資本金の0.5%
・地方自治体への事業税…払込資本金の0.1%(マカティ市の場合)
会社設立にあたっては、このような3種類の資本金から、係る費用をあらかじめ計算しなければいけないので注意が必要です。
今週は以上となります。
弊社では、フィリピン進出から進出後の会計、税務、人事および労務まで
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フィリピン国 マニラ駐在員
近石 侑基