
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ フィリピン拠点の古谷 桃可です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「フィリピンのビジネス法務完全ガイド」について
お話していこうと思います。
はじめに:なぜ今、フィリピンのビジネス法務が重要なのか
フィリピンは、東南アジア有数の成長市場として、多くの日本企業が進出先として注目しています。1億人を超える人口、英語を公用語とするビジネス環境、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業の集積、そして若年層を中心とした旺盛な内需と消費市場の拡大が、その主な理由です。
しかしながら、フィリピンでビジネスを展開するにあたっては、外資規制・会社法・税務・労働法など、独自の法制度を深く理解することが不可欠です。特に外国人・外国企業に対する出資比率の規制(ネガティブリスト)は複雑であり、参入形態の誤りは事業リスクに直結します。
本稿では、フィリピンのビジネス法務の全体像を、外国投資法・会社法・会社設立形態・法務リスク・国際法務のポイントに分けて体系的に解説します。日本企業の海外進出担当者・法務部・経営者の方々にとって、フィリピン進出の戦略立案と法的リスク管理に役立てていただければ幸いです。
フィリピンのビジネス法務とは
フィリピンの法体系の特徴
フィリピンの法体系は、スペイン統治時代に根ざした大陸法(Civil Law)と、アメリカ統治時代に導入されたコモンロー(Common Law)が混在する、世界的にも珍しい「混合法体系(Mixed Legal System)」を採用しています。民法・家族法・財産法はスペイン法の影響が強く、商事法・会社法・訴訟手続法はアメリカのコモンローに大きく依拠しています。
この混合法体系は、日本企業にとって注意が必要な点を生み出しています。日本の法実務とも欧米の法実務とも異なる側面があるため、フィリピン現地の法律専門家との連携が必要不可欠です。また、フィリピンでは判例(Case Law)も重要な法源であり、最高裁判所の判断が実務に大きな影響を持ちます。
民法とコモンローの混合法
フィリピン民法典(Civil Code of the Philippines)は、1950年に制定されています。契約・不法行為・財産権・相続などの私法領域をカバーし、スペインの民法典に強く影響を受けた内容です。一方、フィリピン会社法(Revised Corporation Code)や証券規制法(Securities Regulation Code)などの商事法規は、アメリカ法の枠組みを採用しています。
日本企業がフィリピンでM&A・合弁・契約交渉を行う際には、この「二元的な法体系」を念頭に置き、特に契約書の準拠法・紛争解決条項・株主間契約の設計において、専門的なリーガルアドバイスを受けることが求められます。
フィリピンでビジネスを行うための主要法制度
外国投資法(Foreign Investments Act:FIA)
フィリピンにおける外資規制の根幹となる法律が、1991年制定の「外国投資法(Republic Act No. 7042、通称FIA)」です。この法律は、外国企業がフィリピン国内で事業を行う際の外資比率の上限を定めるものであり、「外国投資ネガティブリスト(Foreign Investment Negative List)」を定期的に発行することが規定されています。
FIAの基本原則として、ネガティブリストに記載されていない業種については、原則として外資100%の出資が認められます。一方、ネガティブリストに掲載された業種については、外資比率が一定の上限(例:小売業は外資25%以下、メディア・通信は外資40%以下など)に制限されます。
また、FIAは外資企業がフィリピンで事業を開始するための最低資本金要件も定めています。外資100%の企業がフィリピン国内市場向けに販売活動を行う場合には、払込資本金200万米ドル以上が必要とされます(輸出型企業は除く)。
外資規制(ネガティブリスト)
フィリピンの外資規制の中心となる「外国投資ネガティブリスト(Foreign Investment Negative List)」は、大統領行政命令によって定期的に更新されます。このネガティブリストは、List AとList Bの2つのリストで構成されています。
【List A】フィリピン憲法または法律によって外資参入が制限される業種
・ 外資0%(完全外資禁止):マスメディア(印刷・放送)、小規模採掘、民間警備業など
・ 外資20%以下:私立ラジオ通信ネットワーク
・ 外資25%以下:小規模小売業(払込資本金250万米ドル未満)
・ 外資40%以下:土地所有を伴う事業、公共施設の運営、教育機関、自然資源の探査・開発・利用など
【List B】国家安全保障・公衆衛生・道徳等の理由から外資比率が制限される業種
・ 外資40%以下:爆発物・火器・弾薬の製造、危険薬物の製造など
日本企業がフィリピンへの進出業種を選定する際は、最新版のネガティブリストを確認し、対象業種における外資比率の上限を厳守することが求められます。ネガティブリストに違反した外資参入はフィリピン法上無効となり、場合によっては行政処分の対象となる重大なリスクを伴います。
会社法(Revised Corporation Code of the Philippines)
フィリピン会社法は、2019年2月20日に大幅改正(Republic Act No. 11232)が行われ、同年2月23日に正式施行されました。改正前の旧会社法(Batas Pambansa Blg. 68)から約38年ぶりの抜本的な改正であり、日本企業が現地法人を設立・運営する上で理解が不可欠な内容です。
主な改正ポイントは以下の通りです。
・ 発起人・取締役の最低人数の緩和:改正前は最低5名の取締役が必要でしたが、改正後は最低1名でも設立可能になりました(ただし公益企業を除く)
・ 1人株主会社(One Person Corporation:OPC)の創設:自然人1名のみで株式会社(OPC)を設立することが可能になりました
・ 取締役のフィリピン居住者要件の撤廃:改正前は取締役の過半数がフィリピン居住者である必要がありましたが、改正後はこの要件が完全に撤廃されました
・ 最低払込資本金要件の撤廃:フィリピン会社法上の最低払込資本金(旧法では5,000ペソ)の要件が撤廃されました(ただし個別法規による最低資本金規制は存在します)
・ 法人の存続期間:旧法では最長50年とされていましたが、改正法では定款に別段の定めがなければ永久に法人が存続できるようになりました
なお、改正後も変更がない点として、財務役(Treasurer)はフィリピン居住者でなければならず、秘書役(Secretary)はフィリピン国籍を有するフィリピン居住者でなければなりません。また、取締役の人数は2名以上15名以下(OPCの場合は1名)と規定されています。
フィリピンの会社設立形態
日本企業がフィリピンに進出する際に選択できる主な会社設立形態は、現地法人(Domestic Corporation)、支店(Branch Office)、駐在員事務所(Representative Office)の3種類です。それぞれに法的性格・課税方法・活動範囲に大きな違いがあり、事業の目的・規模・戦略に応じて最適な形態を選択することが重要です。
現地法人(Domestic Corporation)
現地法人は、フィリピン会社法に基づいてフィリピン国内で設立された法人格を有する会社です。日本本社とは独立した法人格を持ち、フィリピン国内でのあらゆる商業活動が可能です。最も一般的な進出形態であり、長期的な事業展開を想定する場合に適しています。
外資100%での現地法人設立が可能な業種(ネガティブリスト非掲載業種)については、日本企業が100%出資する完全子会社としての設立が認められます。外資規制がある業種では、フィリピン人株主との合弁(Joint Venture)という形態をとることになります。
現地法人の設立には、証券取引委員会(Securities and Exchange Commission:SEC)への登録が必要です。定款(Articles of Incorporation)及び附属定款(By-Laws)を作成し、SECに提出・承認を得ることで法人設立が完了します。
支店(Branch Office)
支店は、日本本社の延長として設立される事業体であり、フィリピン独立した法人格を持ちません。本社と同一の法人格として取り扱われるため、支店の法的責任は最終的に日本本社に帰属します。この点が現地法人との最大の違いです。
支店は、フィリピン国内で営業活動を行い、収益を上げることができます。ただし、支店の収益はフィリピン源泉所得として課税対象となります。フィリピン法人税(現在の税率は25%)の対象となる点は現地法人と同様ですが、支店利益税(Branch Profit Remittance Tax:15%)が本国送金時に課される点が追加のコストとなります。
支店設立にあたっては、SECへの登録と、証券取引委員会(SEC)に対する本国親会社の財務諸表の提出が必要です。また、支店の最低資本金として、フィリピンに割り当てる資本金(Assigned Capital)の設定が求められます。
駐在員事務所(Representative Office)
駐在員事務所は、日本本社のフィリピンにおける連絡・調査・情報収集を目的とした事務所であり、フィリピン国内での営業活動・収益獲得は一切認められません。あくまで本社のサポート機能に限定された設立形態です。
フィリピン国内での顧客への直接販売・役務提供・収益獲得活動が禁止されているため、課税所得は発生せず、フィリピン法人税は課されません。主な費用はフィリピン本社から送金される運営費用(Running Costs)です。
駐在員事務所の設立には、SECへの登録と、最低資本金として30万米ドルをフィリピンに送金することが必要です。市場調査・製品プロモーション・フィリピン国内の取引先との連絡調整などを目的とする場合に、最も迅速かつ低コストで設立できる形態です。
【フィリピン進出形態の比較】
|
項目 |
現地法人 |
支店 |
駐在員事務所 |
|
法人格 |
あり(独立) |
なし(本社と同一) |
なし(本社と同一) |
|
収益活動 |
可能 |
可能 |
不可 |
|
本社の責任 |
原則なし |
あり |
あり |
|
法人税(フィリピン) |
課税あり(25%) |
課税あり(25%) |
原則なし |
|
支店利益税 |
なし |
15%(本国送金時) |
なし |
|
最低資本金 |
業種による |
業種による |
30万米ドル |
|
適した局面 |
長期的事業展開 |
コスト抑制・試験進出 |
市場調査・連絡拠点 |
フィリピン進出で重要な法務リスク
外資規制リスク
フィリピンでの最大の法務リスクの一つが、外資規制(ネガティブリスト)への抵触です。特に注意が必要なのが「アンチダミー法(Anti-Dummy Law)」の存在です。外資制限業種において、フィリピン人株主や取締役が形式的な名義だけを持ち、実質的な支配を外国企業が行う「名義貸し(Dummy)」行為は、フィリピン法上厳しく禁止されており、刑事罰の対象となります。
また、外資規制に抵触する出資構成での会社設立・運営は、SECによる登録取消しや営業停止処分のリスクを伴います。日本企業がフィリピンにおいて合弁形態を選択する場合は、株主間契約(SHA)の設計において、外資規制のコンプライアンスを確保しながら、実質的な経営権・利益分配を適切に確保できる仕組みづくりが重要です。
労働法リスク
フィリピンの労働法(Labor Code of the Philippines)は、従業員保護に傾いた法律体系です。解雇の要件が厳格であり、正当な理由(Just Cause)または許可された理由(Authorized Cause)なく従業員を解雇した場合、企業は不当解雇として損害賠償・復職命令などのリスクを負います。
また、労働関係の紛争は、フィリピン労働雇用省(DOLE)や全国労働関係委員会(NLRC)での行政手続・調停が先行します。フィリピンでは労働組合活動も活発であり、製造業・サービス業での労使紛争への備えが必要です。13ヶ月給(13th Month Pay)や社会保険(SSS・PhilHealth・Pag-IBIG)への強制加入など、日本と異なる労働慣行についても理解が必要です。
税務リスク
フィリピンの税務は、連邦・地方政府の二層構造となっており、内国歳入法典(National Internal Revenue Code:NIRC)が税務の基本法です。2021年には「CREATE法(Corporate Recovery and Tax Incentives for Enterprises Act)」が成立し、法人税率が30%から25%(中小企業は20%)に引き下げられました。
移転価格税制(Transfer Pricing)の適用や、恒久的施設(Permanent Establishment:PE)の認定リスクも重要な税務リスクです。日本とフィリピンの間には租税条約(日比租税条約)が締結されており、二重課税の排除や源泉税率の軽減が適用される場面もありますが、適切な手続きと申告が必要です。
許認可リスク
フィリピンでのビジネスには、SECへの会社登録に加えて、市区町村レベルでの営業許可(Business Permit)の取得、業種に応じた特定省庁(例:製造業はDTI、金融業はBSP・SEC・ICなど)への登録・ライセンスが必要です。フィリピンの行政手続はプロセスが複雑で時間を要する場合もあるため、スケジュール管理と現地のコンプライアンス支援体制の整備が重要です。
フィリピン進出で重要な国際法務・企業法務のポイント
株式構成と経営権の設計
外資規制業種においては、フィリピン人株主との合弁会社を設立することが一般的です。この際、外資40%・フィリピン人60%という典型的な出資比率においても、日本企業が実質的な経営関与を行えるよう、株主間協定書(Shareholders’ Agreement:SHA)において議決権の行使方法・役員指名権・重要事項の承認手続などを詳細に規定しておくことが重要です。
フィリピン会社法上、特別決議(発行済株式の3分の2以上の賛成)が必要な事項(定款変更・増資減資・合併・清算など)については、外資40%株主がこれを単独で阻止することができるため、実務的には「拒否権(Veto Right)」の一形態として機能します。この点を活用した株式設計は、外資規制下でも実質的なガバナンスを確保するための重要な法的手段です。
合弁(Joint Venture)
フィリピンにおける合弁事業(Joint Venture:JV)は、現地パートナーとの関係構築が事業成功の鍵となります。合弁の法的形態としては、法人格を持つ合弁会社(Incorporated JV)と、法人格を持たない契約型合弁(Unincorporated JV)の2種類があります。
フィリピンの合弁では、パートナー選定・デューデリジェンス(DD)・株主間協定の交渉が事業リスク管理の観点から最も重要なプロセスです。特に既存のフィリピン企業への出資・買収(M&A)を伴うケースでは、法務DD・財務DD・税務DDを徹底することが不可欠です。
契約実務と留意点
フィリピンの契約実務は、アメリカ法の影響を受けたコモンロー的なアプローチが基本です。契約書の準拠法をフィリピン法とする場合、フィリピン民法典の任意規定と強行規定の区別、公序良俗に反する条項の無効、詐欺・強迫による契約取消しなどについての理解が必要です。
英語が正式な契約言語であり、フィリピン語(タガログ語)との併用が求められる場面は限定的です。ただし、労働契約書については、従業員への通知・説明義務の観点から、フィリピン語(タガログ語)での交付が推奨される場合があります。
紛争解決
フィリピンの商事紛争の解決手段としては、裁判所(Regional Trial Court等)への提訴に加え、仲裁(Arbitration)・調停(Mediation)が広く活用されています。フィリピンは、1958年のニューヨーク条約(外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約)の締約国であるため、国際商事仲裁の利用が実務的に有効です。
一般的に、フィリピンの裁判所における訴訟は時間を要することが多いため、契約書において国際仲裁(例:ICCやSIAC等の国際仲裁機関を利用)を紛争解決手段として明記することが、日本企業にとっての標準的なリスク管理手法となっています。
フィリピン会社法に基づく機関設計の実務ポイント
フィリピン会社法(改正版)に基づく株式会社の機関設計は、日本の会社法と異なる点が多くあります。以下に主な機関設計の要件と実務上の留意点を整理します。
【フィリピン株式会社の機関設計概要】
|
機関 |
フィリピン(改正後) |
日本 |
|
株主(最低数) |
1名(OPCの場合)・通常2名以上 |
1名 |
|
取締役(最低数) |
2名以上15名以下(OPCは1名) |
1名以上 |
|
取締役の居住要件 |
撤廃(規定なし) |
規定なし |
|
社長 |
1名(取締役から選任) |
代表取締役1名以上 |
|
財務役(Treasurer) |
1名・フィリピン居住者 |
規定なし(会計担当役員) |
|
秘書役(Secretary) |
1名・フィリピン国籍かつ居住者 |
規定なし |
|
取締役会設置義務 |
あり(公開・非公開問わず) |
公開会社のみ |
|
取締役任期 |
原則1年 |
原則2年 |
|
取締役報酬上限 |
全員合計で前年度税引前純利益の10% |
定款または株主総会決議 |
特に日本企業が注意すべき点として、フィリピン会社法ではすべての会社(非公開・公開を問わず)において取締役会の設置が義務付けられている点が挙げられます。また、秘書役(Corporate Secretary)はフィリピン国籍保有者でなければならないため、必ずフィリピン人弁護士や現地法人管理専門家に依頼することが実務上の通例です。
株主総会の決議要件については、通常決議(普通決議)は出席株主の議決権の過半数、特別決議(定款変更・増資減資・合併等)は発行済株式の3分の2以上の議決権が必要です。日本の「出席株主の3分の2以上」とは異なり、フィリピンでは発行済株式全体の3分の2以上が必要な点に注意が必要です。
フィリピン会社法における株式・資本に関する重要事項
株式の種類
フィリピン会社法上、発行できる株式の主な種類として、普通株式(Common Shares)、優先株式(Preferred Shares)、償還株式(Redeemable Shares)、無議決権株式(Non-Voting Shares)、創業者株式(Founder’s Shares)などが規定されています。
優先株式は無議決権株式とすることができるため、外資規制のある業種では、日本企業が優先株式(無議決権・高配当)を取得することで、議決権比率を規制の範囲内に保ちながら経済的利益の確保を図るスキームが実務上採用されることがあります。ただし、こうした株式設計はアンチダミー法の観点から慎重な検討が必要です。
創業者株式(Founder’s Shares)は、取締役選任に関する独占的な議決権を付与できる特殊株式ですが、SECの承認が必要であり、承認日から5年間が適用期限とされています。
フィリピンにおける資本の種類
フィリピン会社法上の資本概念は、日本の会社法とは異なる体系をとっており、以下の3種類に分類されます。
・ 授権資本(Authorized Capital Stock):取締役会の権限で新株を発行できる限度額。増額には株主総会の特別決議と増資証明書のSECへの提出が必要
・ 引受資本(Subscribed Capital Stock):実際に株式引受契約が締結された資本額。日本では全額払込が先行するが、フィリピンでは引受額の一部払込で引受が有効
・ 払込資本(Paid-up Capital):引受契約のうち実際に払込まれた金額。財務諸表上の資本金額はこの払込資本となる
増資手続については、①取締役会決議→②株主総会招集通知の送付→③株主総会決議(発行済株式の3分の2以上の承認)→④新株の引受・払込→⑤増資証明書の作成・SEC提出→⑥登録証明書の交付、というプロセスが法定されています。
フィリピン進出のための法務チェックリスト
フィリピンへの進出を検討する日本企業の法務担当者・経営者向けに、主要な確認事項をチェックリストとして整理します。
■ 進出前の調査・計画フェーズ
・ 進出業種のネガティブリスト(外資規制)確認・最新版の入手
・ 外資比率の上限に基づく進出形態(現地法人・支店・駐在員事務所)の検討
・ 最低資本金要件(FIAおよびSECの規定)の確認
・ フィリピン現地パートナー(合弁相手)の選定とデューデリジェンスの実施
・ フィリピン進出に精通した法律事務所・会計事務所の選定
・ 日比租税条約の適用可否と源泉税率の確認
■ 会社設立フェーズ
・ 定款(Articles of Incorporation)および附属定款(By-Laws)の作成
・ SECへの登録申請・法人設立完了
・ 市区町村(LGU)への営業許可(Business Permit)の取得
・ 税務識別番号(TIN)の取得・BIRへの税務登録
・ SSS・PhilHealth・Pag-IBIGへの会社登録
・ 業種別ライセンス・許認可の取得(製造業・金融業等)
・ 銀行口座の開設(法人口座)
■ 事業運営フェーズの継続的コンプライアンス
・ GIS(General Information Sheet)の年次提出(株主総会後30日以内)
・ 年次財務報告書(AFS)のSECへの提出
・ 法人税申告(確定申告は毎年4月15日までが原則)
・ 四半期ごとの予定納税(Quarterly Income Tax)の申告・納付
・ 源泉徴収税(Withholding Tax)の月次申告・納付
・ VATの月次・四半期申告
・ 取締役会の毎月開催と議事録の作成・保存
・ 年次株主総会の開催(定款に規定がなければ4月15日以降の適切な日)
フィリピン法務に対応できる法律事務所の特徴
フィリピンのビジネス法務は、現地法(フィリピン法)と国際法務(日本法・国際ビジネス慣行)の双方に精通した専門家のサポートが不可欠です。適切な法律事務所・法律専門家を選定する際の主なポイントを以下に挙げます。
・ フィリピン現地の弁護士(フィリピン法弁護士)との連携体制があること
・ 外国投資法・外資規制・会社法に関する豊富な実績を有すること
・ M&A・デューデリジェンス・合弁契約の経験が豊富であること
・ 日本語対応が可能なフィリピン法務チームを保有すること
・ 税務・労務・許認可を含む総合的なビジネス支援が可能であること
・ フィリピン証券取引委員会(SEC)や関係省庁とのコネクションがあること
フィリピンのビジネス法務に対応する法律事務所は、マニラ(BGC・マカティ地区)に集中しています。日本の大手渉外法律事務所がフィリピン現地の法律事務所と協業体制を構築しているケースも多く、日本企業にとって日本語ワンストップでのリーガルサービスを受けやすい環境が整ってきています。
フィリピン進出の初期段階から、現地法務アドバイザーをプロジェクトチームに組み込むことで、外資規制の確認・設立書類の作成・許認可取得・現地パートナーとの契約交渉など、あらゆる法務プロセスをスムーズに進めることができます。
まとめ:フィリピンのビジネス法務を制する者が東南アジア戦略を制する
フィリピンは、東南アジアの中でも日本企業にとって魅力的な投資先の一つですが、その法制度は外資規制・会社法・税務・労働法の各領域において複雑な構造を持っています。
フィリピンのビジネス法務において、特に重要なポイントを以下にまとめます。
・ 外国投資法(FIA)のネガティブリストによる外資規制の把握と、適切な出資比率・参入形態の選択
・ 2019年改正フィリピン会社法の内容(1人株主会社の創設・居住者要件の撤廃・最低払込資本金要件の撤廃等)への対応
・ 現地法人・支店・駐在員事務所のそれぞれの特徴を踏まえた最適な進出形態の選定
・ 外資規制業種での合弁においては、株主間協定書(SHA)による実質的な経営権・利益分配の確保
・ アンチダミー法への抵触リスクを避けながら、事業目的に適合した株式構成・機関設計を実現すること
・ 税務・労務・年次コンプライアンス(GIS・AFS・株主総会等)の継続的な管理体制の構築
フィリピンのビジネス法務は、日本法と大きく異なる面が多く、また法改正も継続的に行われています。日本企業がフィリピンで安定的に事業を展開するためには、進出前の徹底的な法務調査と、進出後の継続的なコンプライアンス管理が不可欠です。
フィリピン進出に際しては、フィリピン法務に精通した専門家(弁護士・税理士・労務士)と早期に連携し、適切な法的サポート体制を構築されることを強くお勧めします。
本稿の内容は、法律上の助言ではなく、一般的な情報提供を目的としています。個別の法務判断については、必ずフィリピン法に精通した弁護士にご相談ください。
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古谷 桃可
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