アメリカ、経済制裁解除へ

税務

ミンガラーバー、ミャンマー・ヤンゴン事務所の鶴見令奈(つるみ れな)です。

 

 

オバマ米大統領は9月14日、ミャンマーへの経済制裁を近く解除することを表明しました。ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問兼外相が初めて訪米し、オバマ氏とホワイトハウスで会談後に述べました。

 

オバマ氏は新政権成立後のミャンマーの民主化の進展を評価して、今回の制裁解除を発表しました。

解除の時期については「間もなく」と語り、9月24日現在、具体的な時期は決まっていません。

 

今回の制裁解除ではほぼ全面的に制裁が解除されます。

 

多くの地元財閥を含む111の個人・企業が制裁リスト(SDNリスト:Special Designated Nationals)から外される見通しです。

発展途上国向けの特恵関税、GSPを復活させる方針も明らかにされました。

GSPの適用でミャンマーは約5000品目を無税で米国に輸出できるようになります。

一方、武器禁輸を含む一部の制裁措置は継続される見込みです。

 

上記の制裁(SDN)リストは、軍事政権を支援し、過去に武器・麻薬取引などを行った個人・企業を米国が指定したもので、掲載されている個人・企業との取引を制裁するものです。

制裁リストにはほぼ全てのミャンマー有力企業が掲載されているとも言われています。

日本政府はミャンマーに制裁措置をとっていませんが、「米国との関わり」があると認定されると日本企業も米国の制裁法が適用されています。

例えば、米ドルでSDN企業と一定以上の取引をする場合、決済で米系銀行を経由することになるため、「米国との関わり」があると認識されて制裁されてしまうことがありました。

 

そのようなリスクのため、日本企業は制裁リストに掲載されている企業との関わりを避ける傾向がありましたが、これからは合弁相手の選択肢が広がることになるとみられます。

 

 

ミャンマーでは軍の政治関与や人権問題が今なお残っており、制裁解除は時期尚早との声もありました。

それでもこの時期に制裁解除を発表したのは、スーチー氏の経済成長を重視したい意向や米経済界の投資を強化したいとの意向を汲んだためとみられています。

新政権移行時に外資の新規認可が滞ったことなどから、新政権の経済政策に対しては企業家から批判が出ていました。

また、この5年間の中国の投資総額が約85億ドルなのに対し、米国は制裁の影響で467万ドルと出遅れています。

 

オバマ氏の発表を受けて、スーチー氏はアメリカ企業へ投資を呼びかけました。

現在までに多くの米国企業がシンガポールなどを経由して間接投資をしており、これからは米国の直接投資が増えることが予想されます。

 

 

Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)

 

鶴見 令奈

 

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