メキシコにおけるサイナー

メキシコに進出している日系企業の多くは、日本本社の人事異動に合わせて駐在員も任期を終え他国へ移ったり、日本へ戻ったりするのではないでしょうか。
駐在員としてメキシコに赴任している人の中にはメキシコ現地法人の代表者となっていることもあり、後任者へ日々の業務だけではなく各種権限も引き継ぐ必要があります。

さてこの権限、特に各種書類に対するサイナーとしての権限ですが、メキシコの場合は直ぐに引継ぎ(変更)ができるものではないため、注意が必要です。
先ず、公的な意味で、メキシコ現地法人の代表としてサイナー(署名権限を持つ者)は以下の2つの条件を満たしている必要があります。

  1. (いわゆる)定款上に権限者としての名前が記載されていること
  2. メキシコでの居住者であること(居住者証明*を持っている)
    *メキシコ国籍者の場合はINE、メキシコ国籍以外の者であればTRTやTRP

この2つの条件を満たしていない限り、メキシコ現地において公的書類への署名は有効にはなりません
(非居住者である権限者が署名したい場合は、居住地において署名を行い、アポスティーユ申請を行えば有効となる)。

 

ここで気を付けなければならない点として、上記1,の条件があります。

定款への権限者名の記載ですが、その方を権限者として有効としたいのであれば、書き換えを行う前に居住者証明とその方のRFC(納税者番号)の取得を終えている必要があります。
なぜならば、定款に名前を載せる際に該当する者のRFCの一緒に公証手続を実施しなければならないからです。

RFCは現地の居住証明が無ければ取得することはできませんので、必然的に居住証明も必要となります。
最近では、外国人に対する在留許可証(TRT)の発行が遅れ気味ですので、後任者が決まっているのであれば、このような手続は直ぐにでも実施することをお勧めします。

 

株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一

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