IVA~帳簿方式とインボイス方式~

税務

東京コンサルティングファーム
メキシコダイレクター
片瀬 陽平

皆さんこんにちは。東京コンサルティングファームの片瀬です。いつも当ブログを見て頂きまして誠にありがとうございます。
さて本日は何かと問題となることの多いメキシコの付加価値税(IVA)をみていこうと思います。付加価値税とは、日本での消費税、その他英語圏で使われているVAT(Value Add Tax)、スペイン語圏で使われているIVA(Impuesto al Valor Agregado)などをいい、その特徴には次の様なものが挙げられます。

<付加価値税の特徴>
・物品、サービスの消費に対して課される間接税である
・税金の負担者は最終消費者である
・中間業者は税負担しないが、納税義務を負う

簡単に言うと、最終消費者がIVA負担しますが実際の納付は中間業者が行うのです。
そのために、メキシコで事業を行う事業者はIVAの納付をしなければならないのです。商品を最終消費者に売った時にIVAを含めてお金を受け取ります。その一時的に預っているIVAを毎月国に最終消費者の代わりに納付するのです。一種の預り金ですね。

そのIVAの計算方法には次の2つの考え方があり、この考え方の違いによってメキシコでのIVAの問題を引き起こすことがあるのです。

[インボイス方式と帳簿方式]
IVAの計算方法には、インボイス方式と帳簿方式の2つがあり、日本では帳簿方式が採用されています。帳簿方式は、一課税期間中の売上の合計額に税率を乗じた額から、同期間中の仕入の合計額に税率を乗じた額を控除して算定する方式であり、売上及び仕入の合計額から税額を推定するために、正確な税額を把握することが困難となります。
一方、EU諸国等ではインボイス方式が採用されており、取引ごとのインボイスを使い税額を算定することで、恣意性が排除され正確な仕入税額控除額の算定等が可能となります。

メキシコでは日本と異なりインボイス方式によってIVAの計算を行う事となっています。

さて、ではインボイス方式を採用しているメキシコだからこそ問題となるケースを見てみましょう。

【商流と物流が異なる場合】
メキシコに新規で進出した専門商社等に多く起こっている問題ですが、メキシコの大手メーカーの中には、ローカルサプライヤー等との直接の取引(契約)を行うことを避けるメーカーもあります。
そのために、直接のやり取りではなく、契約だけ専門商社を間に立たせて取引を行います。
新規で進出する専門商社で、メキシコにPEが未だない、又はPEでビジネスが十分に行えていない場合などには、メキシコのPEではなく、日本本社との契約とする企業があるのですが、特にこの場合に問題になることが多くあります。
物流はメキシコ国内で完結(ローカルサプライヤーから現地メーカーへものが流れる)しますが、その商流については日本を経由することになります。もちろんローカルサプライヤーは、その専門商社の日本本社へインボイスを発行する際にIVA(16%)を付加して発行することになります。この場合には、しっかりとインボイスへ16%と記載されます。
さて問題となるのは日本本社から現地メーカーへ発行するインボイスです。インボイス方式により税額控除を受けることができる税務インボイスの要件がメキシコにおいて定められていますが、・・・・日本本社が現地メーカーへ発行するインボイスはこの要件が満たされているでしょうか。
そうです。インボイスの要件を満たさずに、控除も還付も受けることが難しくなる場合があるのです。
メキシコのIVAの立てつけも日本の消費税に似ているために、もちろんメキシコにPEがあると認められた場合には、そのPEにおいて還付を受けられる可能性は大いにあります。(当社の会計士もメキシコのPEを認めさせるところからと言っておりますし、私も付加価値税の考え方的には還付の可能性は十分にあると考えています。)

もし還付を受けられなかった場合には、日本側で費用として処理をしてその部分だけ日本側で損金算入することとなりますが、損金経理することによって会社の意思表示をしてしまっているので、還付の可能性を探している段階では損金経理はしないようにした方が良いと考えています(経過勘定処理など)。

メキシコはIVAの税率が16%であり、一歩間違えれば利益が16%圧縮されることにもなりかねませんので、事前に十分に検討を行う必要があります。もし先にビジネスが流れてしまっている場合でも、考え方で戦う事も出来ますし、スキームの遡及での再構築の可能性もありますので、まずはご相談からお願いします。

 

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