メキシコにおける会計の考え方(前提条件)

経営

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコにおける会計の考え方(前提条件)について記載します。

 

 

質問)

日本の本社で海外子会社の会計を見ている者です。月次連結決算を実施するために、各国から海外子会社の会計情報を集めていますが、メキシコ子会社からの会計情報は毎回詳細を確認しても内容が不明確、もしくはなぜそのような処理を知るのかが不明な点が多いように感じています。

メキシコ現地の駐在員に聞いても、彼らは会計を専門としているわけではなく、スタッフから「この処理がメキシコでは正しい」と言われてしまえば、それ以上突っ込んだことを確認することができません。会計制度はグローバルな標準化が進んでおり、ほとんどの国で同じ処理が行われていると思うのですが、メキシコはグローバルスタンダードとは程遠い処理をしているのでしょうか。そもそものメキシコにおける会計の考え方をご教示頂ければと思います。

 

 

回答)

 今回のようなご相談は、メキシコの会計業務においてよくある質問の一つです。特に日本や米国などで会計を担当している、つまり先進国の会計制度に慣れ親しんだ人であればあるほど、メキシコ現地法人の会計処理の理解に苦しんでいるように思われます。

 メキシコの会計制度(会計処理)を理解するためには、メキシコの会計制度が何をベースとして作られているのか。つまり、会計処理を実施するうえでの前提条件を理解することが重要です。

 

 会計は、利害関係者(ステークホルダー)に対して、企業の財政状態や経営成績を正しく情報を報告することを目的としており、この報告対象の違いにより、財務会計・管理会計・税務会計といったような区分がされています。もちろん、報告対象によって異なる数字(結果)を提出することは粉飾ですので、あくまでも同じ結果の切り口を変えることが上記区分となります。

 

 日本の会計制度に慣れ親しんだ人は、財務会計や管理会計をベースに考え、法人税を計算するための会計(税務会計)は、その延長線上にあるような前提で考えている人が多いのではないでしょうか。事実、法人所得税の申告時に別表4を用いて、会計上の利益から、税金計算のための課税所得(税務上の利益)を計算しています。

一方で、メキシコでは、上記のように私たち(日本人)が考えているような発想で取引を見ていません。メキシコでは、「会計とは税金計算をするためのもの」という前提条件で取引を認識し、その発想に基づいて会計処理を行っています。なぜならば、メキシコの会計制度自体が、税金計算を主として作られているからです。

そのため、この前提条件の違いを理解し、彼ら(メキシコ人)が実施した会計処理を確認することが必要です。

 

黒岩洋一

 

 

 

 

 

 

 

 

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