取締役への役員報酬について

税務

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコでの取締役に対する役員報酬について記載します。

 

 

質問)

年度末の通常株主総会において取締役に対する役員報酬を決定しようと考えています。日本では法人税法において取締役に対する役員報酬や役員賞与において損金算入の限度額に制限が設けられていますが、メキシコでもこのような損金算入においての制限が設けられているのでしょうか。

 

 

回答)

 メキシコではメキシコ商事一般会社法において、毎年4月30日までに年度通常株主総会を開催する必要があり、その決議事項の中でメキシコ法人の取締役に対する役員報酬額を決定する必要があります。役員報酬をゼロとすることもできますが、今回のように役員報酬を支給する場合は、日本の役員報酬のように損金算入限度額が設けられているため、注意が必要です。

 

メキシコでの役員報酬における損金算入限度額は、以下の3つ条件の中で、最も低い金額までが損金算入されることになります。

 

①各役員に対する役員報酬額は従業員給与の最高額まで

②全役員に対する役員報酬額は全従業員の給与総額まで

③全役員に対する役員報酬額は役員報酬を支給した年(課税年度)における損金算入総額の10%まで

 

以下で具体的な数値を用いて説明します。

 

例)

●従業員5名であり、各人の年間給与額を以下とする

50,000 100,000 120,000 130,000 500,000

●役員2名であり、それぞれの役員報酬を以下とする

500,000 1,000,000

●役員報酬を支給した年の損金算入総額

5,000,000

 

 

①  各役員に対する役員報酬額は従業員給与の最高額まで

従業員5名の中で最も年間給与額が高いものは、500,000となります、そのため、2名の役員それぞれに支給する役員報酬の損金算入限度額は500,000までとなる。

※この条件における役員報酬における損金算入限度額:

1,000,000(500,000+500,000)

 

②  全役員に対する役員報酬額は全従業員の給与総額まで

全業員の給与総額は900,000である。

※この条件における役員報酬における損金算入限度額:

900,000

 

③  全役員に対する役員報酬額は役員報酬を支給した年(課税年度)における損金算入総額の10%まで

役員報酬を支給した年の損金算入総額は5,000,000であるため、この10%までを損金算入とすることができる。

※この条件における役員報酬における損金算入限度額:

500,000(5,000,000×10%)

 

 

よって、今回例示した内容の場合、役員報酬を1,500,000支払ったとしても、損金算入費用として処理できるものは、500,000の

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