メキシコでは、企業が前年度に課税所得が生じた場合、翌年からは月次で法人所得税を月次で仮納付しなければいけません。この月次での法人所得税は、前年度の課税収入に対する課税所得の割合を係数として用いて、月次での課税所得を仮計算して、法人所得税率30%を掛けて求められます。
例えば、2018年度の法人所得税の確定値が以下であった場合、2019年1月からは係数20%を用いて月次での法人所得税の予定納付が必要となります。
【2018年度確定値】
課税収入総額:1,000
損金算入総額:▲800
課税所得額 : 200(課税収入総額に対する課税所得割合:20%)
法人税率 :×30%
確定法人税額: 60
【2019年1月】
課税収入額: 100・・・売上額、為替差益等
係数 : ×20%
課税所得額: 20
法人税率 : ×30%
仮法人税額: 6
一年間を通じて実施した、法人所得税の月次予定納税はあくまでも仮の金額ですので、最終的に求められた法人所得税額と一致することはほぼありません。そのため、確定額が算出された場合、それまで納めていた額を差引いて、不足があれば追加納付、超過払であれば還付や次回以降の納付にまわすことが可能です。
不足がある場合
毎月100MXNを予定納税、最終的な年度ISRが1,300MXN
年間確定ISR: 1,300MXN
予定納税合計:▲1,200MXN
⇒確定申告時に追加で100MXNを納付
超過であった場合
毎月100MXNを予定納税、最終的な年度ISRが1,000MXN
年間確定ISR: 1,000MXN
予定納税合計:▲1,200MXN
⇒200MXNが法人所得税の超過払いとなっているため、回収が可能
支払超過法人所得税の回収方法
年度末の法人所得税の確定申告を行った際に、支払超過となっていた法人所得税は以下のいずれかの方法で回収することが可能です。
・還付手続
実際に現金でSAT(メキシコ国税庁)から返してもらう
・今後の法人所得税の月次予定納税に充当させる
確定申告完了以降に行う法人所得税の月次予定納税と相殺させる
・今後の受取超過IVA(付加価値税)に充当させる
月次で確定申告が必要となるIVAにおいて、受取超過IVAは納付が必要になります。
しかし、今回のようなケースによる法人所得税の支払超過があった場合、この受取超過IVAとの相殺に使用することが可能です。
一派的に還付による支払い超過の税金は回収が難しいと言われています。そのため、早期の回収を図る場合には、その他の方法をとってみるのも手段の一つかと思われます。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
黒岩洋一
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