こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの吉田 幸弥です。
さあ、ここまでは貸借対照表(Balances Generales)の話をしてきました。
ここからは損益計算書(Estado de Resultads)について細かく見ていきたいと思います。
まだ、貸借対照表(Balances Generales)について見てない方は
リンクを貼り付けておきますので、ぜひ以下のリンクからご確認ください。
- ※「『貸借対照表(Balances Generales)』の理解から始めよ!~貸借対照表(Balances Generales)の構成~」
- ※「『貸借対照表(Balances Generales)』の読み方~基礎編~」(リンク貼り付け)
- ※「『貸借対照表(Balances Generales)』の読み方~指標編~」
- ※「『貸借対照表(Balances Generales)』の落とし穴」
そして、今回のテーマは「『損益計算書(Estado de Resultads)』」についてです!
【はじめに】
“損益計算書(Estado de Resultads)”はおそらく、“貸借対照表(Balances Generales)”よりは
身近に感じるのではないでしょうか。
おそらく、営業職の方や製造部門長の方なら、売上や費用、利益などを意識したことがあるはずです。
一般的には、“貸借対照表(Balances Generales)”は社長の責任、“損益計算書(Estado de Resultads)”は社員の責任と言われております。
つまり、成長している会社では、社員全員が“損益計算書(Estado de Resultads)”を意識しているのです。
皆さんの社員の方は“損益計算書(Estado de Resultads)”を意識していますでしょうか。
もし、“損益計算書(Estado de Resultads)”を意識していなかったら、今はいいかもしれませんが、今後の成長が止まってしまう可能性があります。
そもそも、「“損益計算書(Estado de Resultads)”意識をさせる」とはどういうことか。
売上だけを意識することなのか。
費用を意識させることなのか。
具体的にはなにをしていけばいいのか。
そんな内容を複数回に分けて解説していきます。
【“損益計算書(Estado de Resultads)”とは?】
それでは、損益計算書(Estado de Resultads)について見ていきましょう。
損益計算書(Estado de Resultads)とは、一言でいうと、1年間の経営の成績を表したものです。
どれくらい稼いで、どれくらいの費用を使ったのかを把握が出来ます。
しかし、メキシコと日本では少しだけ表示の方法が違います。
日本では5つの利益で細かく表示されていますが、メキシコでは4つの利益となっています。
その違いとしては、日本では日本基準を基に会計の表示を行なっており、メキシコではメキシコ会計基準を基に会計の表示を行なっているためです。
なぜ、利益の表示が違うかというのは、今回は割愛させていただきますが、出来るのであれば、5つの利益に分けたほうが管理はしやすいかと思います。
【5つの利益】
さて、損益計算書(Estado de Resultads)で計上されている5つの利益について解説していきます。
- 売上総利益(Utilidad bruta)
売上総利益とは、売上から売上原価を引いて残った利益です。
売上総利益=売上-売上原価
1年間で会社が商品やサービスでどれくらい稼いでいるかが把握できます。
「粗利益」とも呼ばれることもあります。
- 営業利益(Utilidad de operacion)
営業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理(販管費)を引いて残った利益です。
営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費
1年間で会社がどれくらい商売をして稼いでいるかが把握できます。
販管費は売上総利益を増やすために、どれくらいの努力をしているのか、維持費や管理費がどれくらいかかっているのかが表示する科目となります。
販管費を下げれば営業利益を上げることは一時的に上げることは出来ますが、広告宣伝費や人件費など売上総利益を上げるための費用まで削ってしまうと、その後の売上総利益を下げてしまうこともあります。また、メキシコではPTUなどもこの販管費に含まれます。
PTUについては下記のリンクをご確認ください。
なので、販管費に関しては、なんのために費用を使用しているのかを見ていく必要があります。
- 経常利益
経常利益とは、営業利益から営業外損益を加減して残った利益です。
経常利益=営業利益+(営業外収益-営業外費用)
1年間で、会社が経常的に利益を獲得しているかが把握できます。
営業外損益とは、営業外収益から営業外費用を差し引いたものです。
営業外収益には、受取利息や受取配当金など本業以外で経常的に稼いだ収益が記載されます。
営業外費用には、支払利息などの本業以外で経常的に発生する費用が記載されます。
また、為替差損益もこの営業外損益に含まれます。
そのため、どれだけ本業で稼いでいたとしても借入金の支払利息や為替差損などによって、利益が下がってしまうことも多くあります。
特に、メキシコでは為替の変動が激しいので注意をする必要があります。
- 税引前当期純利益(Utilidad antes de impuesstos la utilidad)
税引前当期純利益とは、経常利益から特別損益を加減して残った利益です。
税引前当期純利益=経常利益+(特別利益-特別損失)
1年間で、会社が臨時的なものも含めどれくらい最終的に利益を獲得しているかが把握できます。
特別損益とは、臨時的に発生した特別利益から特別損失を差し引いたものです。
特別利益には、固定資産を売却して得た利益や株式を売却した時に得た利益が記載されます。
特別損失には、固定資産を売却して失った損失や株式を売却した時に失った損失が記載されます。
- 当期純利益(Utilidad neta)
当期純利益とは、税引前当期純利益から税金を差し引いて残った利益です。
当期純利益=税引前当期純利益-税金
1年間で、会社がどれくらい分配可能なできる利益を獲得しているかが把握できます。
法人税等調整額を計上している場合には、税引前当期純利益に調整額を調整することになります。
【おわりに】
ここまで、5つの利益について見てきました。
損益計算書(Estado de Resultads)を見ていくには、この5つの利益を理解していないと始まりません。聞いたことがあるだけでなく、なにを意味しているのかまで理解しておく必要があります。
メキシコでは上記の④税引前当期純利益の説明で出てくる特別損益という概念がないので、③経常利益という項目がありません。なので、利益が4つとなっていますが、基本の考え方は同じです。
また、メキシコの会計データを基に日本に報告するための財務諸表には5つの利益があるかもしれません。その時に実際に自分の会社がどのような利益構成になっているかを把握しておくことは経営をしていく上で重要なことになります。
ただし、メキシコでは税務会計が基本となっているため、管理会計や日本に報告するための財務諸表まで考慮して、記帳をしていないことがしばしばあるようです。なので、正しく数字が見えてこないという声もよく聞きます。
会計を正しく表示出来ていないと、誤った経営判断をしてしまうことも多くあります。
そうならないためにも、管理会計や日本に報告するための財務諸表を考慮して、記帳していくことがとても重要となってきます。
今回を機に一度、自社の会計を見直してみてください。
今回は以上となります。
また、次回もよろしくお願いします!
何かご不明点等ございましたら、お問合せフォームよりご連絡ください。
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株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
吉田 幸弥
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