インドにおける移転価格文書化~移転価格文書化の全体像~

税務

皆様、こんにちは

Tokyo Consulting Firm Private Limited(India) の田本です。

 

本日は、インドにおける移転価格文書化シリーズ、第2回という事で、移転価格監査/会計士証明(Form 3CEB)について説明していきます。

 

通常の企業であれば、Form 3CEBは毎年行っているコンプライアンスですが、どのような趣旨で必要かという点について気になったことはありますでしょうか。

 

多くあるインドのコンプライアンスの一種ではありますが、実は移転価格関連の対応としては、非常に重要なコンプライアンスであり、未実施の場合は罰則規定も存在します。

 

このForm 3CEBですが、他国ではあまりない概念で、インド特有のコンプライアンスと言えるでしょう。移転価格監査と言う風に呼ぶ方もいらっしゃいますが、通常の監査のように会計士の業務量が非常に多いというわけではなく、グループ間での取引価格に会計士のお墨付きを与える事が趣旨であるため、移転価格監査の一部というイメージが適切かと思います。

 

インドにおいては、移転価格の文書化に関する3層アプローチである、国別報告書、マスターファイル、ローカルファイルに加えて、このForm 3CEBについても行う必要があるという点に留意が必要です。

 

インド所得税法第92条Eでは各課税年度において、関連会社(所得税法上の関連者)と1ルピーでも国際取引をある全ての企業は、インドの勅許会計士(Chartered Accountant)が発行するForm 3CEBの取得が必要と規定されております。

 

ここでの関連会社の定義はインド所得税法第92条Aによると、直接的、間接的に、または 1 以上の中間企業を通じて、ほかの企業の経営・コントロール・資本を有している企業、兄弟会社と規定されており、具体的には下記の条件が規定されております。

 

  • 一方の企業が他の企業の株式の 26%以上を保有する場合
  • 一方の企業が他の企業の取締役の過半数を占める場合
  • 一方の企業が他の企業へその総資産の 51%以上の額を貸付している場合
  • 一方の企業が他の企業から 91%以上の原材料の供給を受けており、その価格・条件に影響を受ける場合
  • 一方の企業が他の企業の保有するノウハウ・特許・商標・フランチャイズ・ライセンス等に完全に依存している場合等

 

また、この移転価格に会計士が100%同意するという保証はなく、時に企業側が提案する移転価格に同意ができずに、移転価格の修正を依頼することもあります。これは、会計士が署名を行うため、インド税務当局の狙いにそぐわない意見を持ってはいけないためになります。

 

Form 3CEBの期限は通常10月末となっており、Form 3CEBが次の月に法人の確定申告を行う流れとなります。今年はコロナの影響もあり、12月末まで期限が延長されております。

 

Form 3CEBについては、以上になります。次回のブログでは、移転価格の3層構造アプローチの一つであるローカルファイルについて具体的に説明していきます。

 

 

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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔

 

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