こんにちは、TCFインド ムンバイ駐在員の長坂です。
Q.
日本法人よりサービス提供を受けたインド法人です。支払いを行うにあたり、TDSを差し引く必要がありますが、その際の税率について教えてください。
A.
さて、先週のブログでは日印租税条約を適用する際の手続きについて記載しました。その説明途中で記載した以下の場合分けについて解説します。
①【日本法人がPANを保有していない場合】
20%(2015年3月31日までは25%)
②【日本法人がPANを保有しているが日印租税条約を適用しない場合】
10%(2015年3月31日までは25%)
③【日印租税条約を適用する場合】
10%(2015年3月31日も同様に10%)
これは、2015年度インド予算案を受けた変更税率なのですが、インドの予算案を原文抜粋すると以下の文章が今回の変更点に該当します。
「Rate of Income-tax on royalty and fees for technical services reduced from 25% to 10% to facilitate technology inflow.」
意訳すると、「インドの技術力を高めるため、海外からのサービス提供にかかるTDSレートを25%から10%へと変更する。」という感じになります。
上記変更点はインド所得税法115A条を変更したものによります。この条文では非居住者からのサービスに対するTDSレートを規定しています。今回の改正では、ここが25%から10%になったということになります。
こうなってきて、じゃあどうして①のケースでは20%なの?という知識欲の高い方からの疑問も出てくるかと思います。インド所得税法206AA条ではPANを保有していない場合における罰則規定が定められています。インドで取引を行なう際、PANを保有していない場合には20%のTDSレートが課せられるということが記載されています。
まとめると、上記の場合分けは、以下の項目のうち一番高いレートが適用されるということになります。
・PANを保有していない場合 20%
・外国法人のTDSレート 10%(以前は25%)
・日印租税条約適用時 10%
いずれにせよ、今回の改正により、インド⇒日本へのサービス対価の支払いの際には、「日印租税条約を適用しなくともPANを持ってさえいれば適用時と同様のレート」という状況になりましたので、租税条約を適用するための手間が減る、と考えても差し支えないかと思います。
今回の改正の目的は「インドの技術力を高めるため」なので、「手続きが面倒なインド」の印象を変えるような変更は、 個人的にはインドと他国の関係がWin-Winの大賛成だと思います。