Tokyo Consulting Firm Private Limited
Tokyo Consulting Firm Human Resources Private Limited
バンガロール支店 マネージャー
岩城 有香 (いわき ゆか)
TEL: +91 99-8033-7615 / E-MAIL: iwaki.yuka@tokyoconsultinggroup.com
こんにちは、インド大好き、TCFインド・バンガロール駐在員の岩城です。
先週の‘概要’に引き続き、今週はPF制度の問題点と日印社会保障協定の動向について、お伝え致します。尚、当該テーマについては、過去にもブログでご紹介しておりますので、併せてご参照下さい。
日系企業におけるインドPF制度の問題点は、以下の2点であるといえます。
① 年金の二重払い問題
日本人駐在員が日本とインドの両国で給与を受け取っている場合、年金の納付も両国で行う事となり、年金の二重払いとなってしまいます。
具体的な納付額は、International Workerの場合、企業側・従業員側共に(納付額計算基準)給与月額の12%です。企業側については管理費等を含めると約13%となっています。
ローカル従業員の場合は、実際の基本月給又は15,000Rp、いずれかの12%となっています。これは、2014年の法改正により、PF加入基準が月給15,000Rp以上の従業員と規定されているからです。
留意頂きたいのは、International Workerの従業員負担部分の12%分の納付金についても会社が負担しているケースです。その場合、当該負担額は、従業員に対する手当とみなされ、所得税が課税されます。よって掛金の合計約25%(管理費等含む)と、さらに所得税課税分を合計した約30%を支払うことになり、企業にとっては大変大きな負担となっています。
② 納付金の掛け捨て問題
2010年の法改正においてInternational WorkerのPF還付手続きは「58歳以上から」と規定されました。つまり、インド赴任が終了した後も当該駐在員が58歳になるまで納付額は返金されず、多くの企業が長期間納付金の返金が受けられない、ほぼ掛け捨ての状態となっています。
上記の様な問題点の改善策として期待されているのが、「日印社会保障協定」です。
社会保障協定とは、社会保障制度を持つ2つの国が、双方の社会保障制度への「二重加入の防止」及び「年金加入期間の両国間での通算」を主な目的として協定するものです。日本とインドは2012年に実質合意されましたが、2016年4月現在、未だ発効には至っていません。
社会保障協定の実質合意から発効までには、法令の詳細な整備・協定署名・国会承認・外交上の文書交換といった様々な手続きを経る必要がある為、通常約2 年程度を要します。日本の場合は既に3年が経過しており、経済界からの強い要望もあり、2016年度中には何かしらの進展があるのではと期待が高まっています。
「日印社会保障協定」が発効された場合、上記の問題点の解消のみならず、年金受給資格期間についても両国の保険料納付期間が通算され、納付額の受取方法等も現在より緩和される予定です。協定発効による日系企業の負担軽減額は推計約23億円/年(厚労省試算) とされており、今後の動向に益々注目です。
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