インド人教育プラン①

労務

こんにちは。Gurgaon事務所の仁井(にい)いずみです。
日本一時帰国滞在を終え、先週末にDelhiに帰ってきました。約2週間の不在でしたがDelhiはだいぶ暖かくなり新芽も出てすっかり春となっておりました。個人的には一番好きな季節です。

何度かお伝えしている通り当社では社員教育に力を入れており、サービスラインナップの一つとしてお客様へ教育プランをご提供しています。実務だけではく、会社の存在意義、どんな思いをもってサービスを提供するのかという原理原則を徹底していきたいと思っております。これまで毎週労働法についてお届けしておりましたが今週と来週は教育について触れます。帰国時に同テーマのセミナーを開催させていただいたためまとめたいと思います。

【日系企業がすべきこと】
インドにきて思うことは、本当に日本の品質・技術は素晴らしいという事です。また多くの企業様がそれに対して誇りをもち、その価値を世界に広めていこうとされています。そのためには日本本社が求めるのと同じ品質を、全世界の社員が徹底していく必要があります。会社存在意義である経営理念を全世界の社員によって実現していく必要があります。

【インド人と日本人の違い】
仕事に関して言えば、インド人と日本人とでは根本的に考え方が異なります。日本人は属人主義であることに対し、インド人は職務主義といえます。それゆえインド人はみずから責任を取るというより、いかに自分の責任ではないかを一生懸命訴える傾向にあります。また日本人はそこまで人に対して強く指導するということは多くありませんが、インド人は長く強く主張してきます。仕事の考え方の詳細については【インド人事制度のコツ②】をご参考ください。

【違いを踏まえたうえでしていくべきこと】
インド人が経営理念を実現していく、すなわちローカライゼーションを目指していきます。インド人組織により日本本社と同じレベルのサービス提供を継続できることを大目標とします。その前段階としてインド人を教育する必要があります。上述の通りインド人と日本人は考え方が異なるため、単にマネジャーを採用しても日本本社の求めるレベルの組織が作れるわけではありません。まずは日本人駐在員がインド人を徹底教育、日本本社の経営理念を熱く語るくらいの勢いで指導することも必要になります。インド人の自己中心的で強い主張に対してはっきりとNoと言うことも必要でしょう。

【日本的教育はインド人に通用するのか】
インドにはカーストによる職業の細分化など日本と同じようにはいかないと思われがちです。しかしながら大学卒業者で2,30代の若者になるとカーストへの偏見も薄く、ごみを捨てることは本当は良くない(インド人は平気でごみを捨てます。道端はごみであふれています)と頭ではわかっています。また基本的に素直な人種でもあります。
会社の求める品質とは何か、達成するためにどんな社員であるべきなのか、きちんと理解させることで、実行ベースまで落とし込みが可能です。
ただし、慣習・考え方の違いから教育には手間と工夫が必要です。経営理念を理解させ、実行させ、ローカライゼーションまでもっていくには段階を踏んで教育します。
①土台を整える「考え方の統一」
②社内に連帯感を持たせる「連帯意識」
③できる社員への実践①「役割の認識」
④できる社員への実践②「責任感」
⑤幹部候補の徹底教育「インド人管理者育成」

5つのステップが必要であり、基本的には①から順番に実行していきます。「考え方の統一」とは経営理念の落とし込みになります。方法は様々ですが、ポイントは毎日継続して伝えていき、意見を交わすことです。「連帯意識」では部署を超えた情報共有の場を作ること、部署を超えて共同作業をしてみるなどが考えられます。当社の事例として、「全員で掃除」プランを導入しました。インドでは高い階級の人は掃除をしないというのがあり、掃除をすることに抵抗を覚える人が多いです。掃除には意味があります。
「自分の周りだけでなく共用部分にまで目を配って自ら片づける。」
仕事に置き換えると以下のようになります。
「自分の責任範囲の業務だけでなく、関連者の業務にまで目を配り、ソリューションを提供する」
インド人に一番欠けていることです。
当社でも行っていますが、マネジャーが一番熱心に共用部分を掃除しています。やはりそのマネジャーは仕事への柔軟な姿勢やお客様への見られ方ということを理解しています。掃除も仕事も本質は同じなのだと思います。掃除を通して本質の考え方を身につけることにもなります。

次回は後半3つについてご紹介します。

以上

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