皆さま、こんにちは。バンガロール支店マネージャーの坂本佳代です。
インドで事業を行う上で、当初予定していた利益が得られず、撤退を余儀なくされる企業様も少なくありません。撤退の決定後に経営陣の頭を悩ませるのが、従業員解雇の問題、過年度の税務申告の問題です。会社を消滅させるには、吸収合併、事業譲渡、自主清算等が主な選択肢となります。
吸収合併を選択する場合、債務の移転リスク以上に効果が期待できるか否かがポイントになりますし、権利・債務が選択の余地なく包括的に移転するため、合併協議最中に明らかになった債務(簿外債務・偶発的債務)についても承継する必要があることから慎重に検討を進める必要があります。
吸収合併については、清算手続きを経ることなくして、吸収された会社は消滅します。事業譲渡については、会社の財産を全部譲渡しても会社は消滅しません。会社を消滅させるには、別途清算手続きが必要となります。また、事業譲渡は、インドではスランプセール(Slump Sale)とよびますが、個々の資産・負債別に価格設定を行わず、一括して企業、または部門の売却を行うことになります。
これに対し、資産譲渡(Itemized sales)は、各資産ごとに価格設定を行い、第三者に売却を行うことをいいます。事業譲渡、資産譲渡いずれも、売買契約書を締結し、売手から買手に請求書を発行して完了となりますが、事業譲渡の場合は、事業譲渡後は直ちに事業を中止する必要があります。その後、自主清算の手続きに進むことになるため会社消滅の手続きは企業の状況に応じ長期化する可能性があります。別途検討すべきは従業員の問題です。
一方、吸収合併は自主清算の手続きが必要ありませんが、様々な政府機関からの承認が必要となり、従業員解雇に伴い相互の合意を得ることが出来ずNCLTに対し異議申立てされた場合は、これに起因して手続きが長期化する可能性はあります。
撤退を検討される企業様におかれましては、各分野における専門家にご相談の上、慎重に検討を進めていく必要があります。個別のご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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バンガロール支店マネージャー
坂本 佳代(さかもと かよ)
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