お世話になっております。東京コンサルティングファーム インド拠点の加部 新(かべ あらた)です。日頃ご愛顧頂いている皆様へ有益な情報をお届けします。ご質問などございましたらお問い合わせ下さい。

インド子会社を運営する日系企業では、法定監査や税務申告などのコンプライアンス対応には力を入れている一方、月次での経営数値の確認が十分に行われていないケースがあります。

例えば、会計帳簿への入力は毎月行われているものの、日本本社に提出するのは売上と利益だけで、売掛金や買掛金、キャッシュフローの状況までは確認していないといったケースです。

しかし、インド法人の経営状況を把握するためには、「正しく記帳されていること」と「経営判断に使える数字が毎月確認できること」は分けて考える必要があります。

そこで重要になるのが、月次決算です。

インド市場が成長する中で、売上を拡大している日系企業も少なくありません。

しかし、売上が伸びているからといって、必ずしも経営状態が改善しているとは限りません。

人件費の上昇、オフィスや工場の賃料、物流費、外注費などが売上以上に増加していれば、利益率は低下します。

特に重要なのは、「前年より売上が増えた」という結果だけを見るのではなく、どの費用が増加し、その結果として利益率がどのように変化したのかまで確認することです。

月次でPLを比較することで、こうした変化を年度末より早い段階で把握することができます。

利益が出ているにもかかわらず、銀行残高が増えていない場合には注意が必要です。

その原因の一つとして考えられるのが、売掛金の増加です。

売上を計上していても、顧客から代金を回収できていなければ会社に現金は入りません。売上拡大に伴って売掛金が積み上がると、PL上では黒字でも資金繰りが厳しくなることがあります。

そのため、月次決算では売上や利益だけではなく、BS上の売掛金残高や回収期間も合わせて確認することが重要です。

月次決算を経営に活用するためには、実績だけを見るのではなく、予算との比較も重要です。

例えば、売上が前月より10%増加していたとしても、当初計画では20%増加する予定だったのであれば、必ずしも良い結果とは言えません。

反対に、経費が前年より増えていても、新規採用や設備投資など計画された支出であれば、それ自体が問題とは限りません。

重要なのは、「増えた・減った」ではなく、「なぜ予算と実績に差が生じたのか」を確認することです。

月次で予実差異を確認する仕組みを作ることで、問題が大きくなる前に経営側が対応できるようになります。

日系企業でよく起こるのが、日本本社とインド法人の間での認識の違いです。

インド側の会計担当者にとって重要なのは、帳簿を正しく作成し、GSTやTDS、監査などの現地コンプライアンスへ対応することです。

一方、日本本社や現地経営者が知りたいのは、「今月なぜ利益率が下がったのか」「どの顧客から利益が出ているのか」「資金はあとどれくらい必要なのか」といった経営情報です。

そのため、Tallyなどから出力したPLやBSをそのまま本社へ送るだけでは、十分な経営管理資料にならない場合があります。

会計データを経営判断に使える形へ変換することが必要になります。

月次決算を導入すると、毎月PLやBSを作成すること自体が目的になってしまうことがあります。

しかし、本来の目的は資料作成ではありません。

数字を確認し、問題を発見し、必要なアクションにつなげることが月次決算の目的です。

例えば利益率が低下しているのであれば、その原因が売価なのか、人件費なのか、仕入価格なのかを確認する必要があります。売掛金が増えているのであれば、どの顧客の回収が遅れているのかまで確認する必要があります。

つまり、「数字を見る」だけで終わらず、「なぜその数字になったのか」まで確認できる管理体制を作ることが重要です。

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