お世話になっております。東京コンサルティングファーム インド拠点の加部 新(かべ あらた)です。日頃ご愛顧頂いている皆様へ有益な情報をお届けします。ご質問などございましたらお問い合わせ下さい。
毎月のスケジュール(目安)
| 時期 | 対応事項 |
| 月初 | 前月の会計資料(請求書・銀行明細等)を回収 |
| 翌月7日まで | 前月中に控除したTDSを納付 |
| 翌月11日まで | GSTR-1(売上取引の報告)を提出 |
| 翌月14日以降 | GSTR-2Bと仕入帳簿を照合 |
| 翌月15日まで | EPFの拠出・ESIの納付 |
| 翌月20日まで | GSTR-3Bを提出 |
インド法人では「毎月の資料回収」が重要
インド現地法人では、GST、TDS、給与計算、PF・ESIなど、毎月対応が必要となる税務・労務手続きがあります。
申告そのものを会計事務所などへ委託している場合でも、現地法人側で請求書、銀行明細、給与情報などを適切なタイミングで準備できなければ、申告の遅延や誤りにつながります。
そのため、単に「申告期限を管理する」のではなく、申告期限から逆算して社内の資料回収スケジュールを決めておくことが重要です。
月初:前月の会計資料を回収
まず月初には、前月分の会計資料をまとめます。代表的な資料としては、
- 売上請求書
- 仕入・経費請求書
- 銀行明細
- 従業員経費精算
- 固定資産購入資料
- 親会社・関連会社との取引資料
などがあります。
特にインドでは、請求書のGST番号、税率、取引先情報などに誤りがあると、後日修正対応が必要になる場合があります。
会計処理後にまとめて確認するのではなく、請求書を受領した段階で基本情報を確認しておくことが望ましいでしょう。
7日前後:TDSの納付
インドでは、一定の支払いについてTDS(源泉徴収税)が発生します。一般的には、前月中に控除したTDSについて翌月7日までに政府へ納付する必要があります。
例えば、
- Professional Fee
- Rent
- Contractor Payment
- Commission
などについてTDSが発生する可能性があります。
実務上注意したいのが、銀行から実際に支払った金額だけを確認すればよいわけではないという点です。
TDSは取引の内容や計上・支払時期によって判断する必要があるため、月次決算時には各費用のLedgerを確認し、TDS対象取引の漏れがないかチェックすることが重要です。
11日前後:GSTR-1
GST登録企業では、売上取引の内容をGSTR-1で報告します。月次申告の場合、通常は翌月11日がGSTR-1の提出期限です。
そのため、申告直前になって売上請求書を集めるのではなく、月初の段階で、
- 「前月分のInvoiceがすべて会計帳簿に計上されているか」
- 「Invoice Numberに抜けや重複がないか」
- 「GSTINや税率に誤りがないか」
などを確認しておく必要があります。
特に月末付近で発行したInvoiceについては、翌月分として処理されてしまうケースもあるため注意が必要です。
14日以降:GSTR-2Bとの照合
仕入側については、取引先がGST申告を行うことで、自社側のGSTR-2Bに仕入税額控除に関する情報が反映されます。GST Portalでは、GSTR-2Bは原則として翌月14日に生成されます。
ここで重要なのが、会計帳簿に計上されている仕入とGSTR-2Bを照合することです。
例えば、『会計帳簿にはInvoiceがあるが、GSTR-2Bには反映されていない』という場合、Vendor側でGST申告がされていない、GSTINが間違っているなどの可能性があります。
このような差異を放置すると、Input Tax Creditの管理が複雑になるため、毎月Vendorごとに差異を確認しておくことが重要です。
20日前後:GSTR-3B
月次申告企業の場合、GSTR-3Bは通常翌月20日までに提出します。
GSTR-3Bでは、売上に対するGSTと利用可能なInput Tax Creditなどを踏まえてGST納税額を計算します。したがって、
- Sales Ledger
- GSTR-1
- Purchase Ledger
- GSTR-2B
- GSTR-3B
という一連の数字が整合しているかを確認することが重要です。
申告書だけを確認するのではなく、会計帳簿との整合性まで月次で確認しておくことで、年度末に大きな差異が発覚するリスクを減らすことができます。
給与計算・PF・ESIも忘れずに
従業員を雇用している会社では、給与関連の対応も毎月発生します。給与計算では、
- Attendance
- Leave
- 入退社
- Salary Revision
- Reimbursement
- Bonus・Incentive
など、前月から変更がないかを確認する必要があります。
また、対象企業ではPFやESIについても毎月の拠出・納付が必要です。EPFの拠出は原則翌月15日まで、ESIについても原則として対象月終了後15日以内の納付となっています。
そのため給与計算を月末ぎりぎりに開始するのではなく、勤怠や給与変更情報の締切日を社内で設定しておくことが重要です。
日系企業が実務上押さえておきたいポイント
インドでは、それぞれの申告期限を覚えること以上に、「誰が・いつまでに・どの資料を準備するか」を決めておくことが重要です。
例えば、
- 月末:請求書・勤怠情報を締める
- 月初:会計資料を回収する
- TDS対象取引を確認する
- GST売上データを確認する
- GSTR-2Bと仕入帳簿を照合する
- GSTR-3Bを申告する
という月次フローを社内で固定しておけば、申告直前に資料を探す必要がなくなります。
特に日本人駐在員が財務・管理業務を兼任している会社では、申告書そのものを細かく作成する必要はありませんが、会計帳簿と申告内容が一致しているか、未処理事項が残っていないかを毎月確認する仕組みを作っておくことが重要です。
年度末になってから一年分を修正するのではなく、毎月小さな差異を解消していくことが、インド法人の会計・税務管理では非常に重要となります。
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加部 新