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【インド進出】子会社が押さえるべきStatutory Acts
(法定コンプライアンス)と税務・労務の実務対応
1なぜStatutory Acts対応が重要なのか
インド子会社を運営する際には、会社法、税務、労務、外為規制、個人情報保護など、複数の法令に基づく手続きが同時に発生します。日本本社から見ると、年次申告、給与計算、取締役会、GST申告、従業員情報管理は別々の業務に見えますが、実務上はいずれもStatutory Acts、すなわち企業が遵守すべき法定制度に基づいています。
問題は、制度を知っているかどうかだけではありません。誰が期限を管理し、どの書類を保存し、外部専門家と本社がどこまで確認するのかが曖昧な場合、申告遅延、当局照会、監査指摘につながります。
2主な法令領域の整理
会社運営の基本となるのはCompanies Act, 2013です。同法は会社設立、取締役、株主総会、取締役会、監査済財務諸表、ROC Filingなどを定めます。
税務ではIncome-tax Act, 2025が2026年4月1日から施行され、TDS、前払い税、法人税申告、駐在員税務などの確認が必要です。間接税ではCGST Act, 2017などに基づくGST登録、請求書、Input Tax Credit、月次申告が重要です。
労務では4つのLabour Codesにより賃金、労使関係、安全衛生、社会保障の整理が進められています。さらに、FEMA, 1999は外国投資、株式発行、国外送金、親子会社間取引に関係します。DPDP Act, 2023およびDPDP Rules, 2025は、従業員・顧客・取引先の個人データ管理に影響します。
3実務上のポイント
日系企業で特に多い落とし穴は、現地会計事務所やCompany Secretaryに任せているため、本社側が全体像を把握していないことです。
例えば、日本人取締役のDSCやDIN KYCが未更新のままでは、ROC Filingが進まない場合があります。 税務では、日本本社へのManagement Fee、Royalty、Reimbursementについて、TDS、GST、移転価格の確認が必要です。
労務では、雇用契約書、給与内訳、PF、ESI、Gratuity、残業管理が実態と合っているかを確認する必要があります。データ保護では、従業員情報を日本本社や外部給与ベンダーへ共有する際、目的、同意、保存方法、問い合わせ窓口を整備すべきです。POSH法についても、Internal Committeeの設置、研修、苦情処理、年次報告が形式だけになっていないか確認が必要です。
4企業が取るべき対応
まず、会社法、税務、労務、外為、データ保護、POSHを含む年間コンプライアンスカレンダーを作成してください。次に、各手続きについて、現地法人、本社、会計事務所、Company Secretary、給与ベンダーの役割を明確にします。
確認すべき書類は、ROC Filing控え、監査済財務諸表、取締役会・株主総会議事録、GST申告書、TDS申告書、雇用契約書、就業規則、社会保障登録、プライバシーポリシー、POSH関連資料などです。拠点所在州によりShops and Establishments、Professional Tax、Labour Welfare Fundなどの対応も異なるため、州別要件の確認も必要です。なお、具体的な対応は業種、従業員数、州、取引形態により異なるため、個別事情に応じた確認が必要です。
5まとめ
インドのStatutory Acts対応は、単なる法律一覧の理解ではなく、会社運営の実務設計そのものです。日本企業にとって重要なのは、現地任せにせず、期限、担当者、提出書類、証憑保存、承認フローを見える化することです。
特に、会社法、税務、労務、外為、データ保護は互いに関連します。制度変更が起きた際に、誰が影響を確認し、どの社内規程や契約を更新するのかまで決めておく必要があります。インド実務では、制度理解だけでなく、継続的に運用できる管理体制を作ることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. インドのStatutory Actsとは何ですか?
A.会社法、新所得税法(Income-tax Act, 2025)、間接税(GST)、労働法典(Labour Codes)、外為規制(FEMA)、個人情報保護法(DPDP Act)など、インドで事業を行う企業が遵守すべき法定制度の総称です。
Q.インド子会社の管理で日系企業が陥りやすい注意点は何ですか?
A. 現地の会計事務所任せになり、日本本社がコンプライアンスの全体像や期限を把握していないことです。取締役のKYC未更新による申告遅延や、親子間取引でのTDS/GST漏れなどが頻発します。
東京
亀 圭良