皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の加部 新です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「インドの法定退職金(Gratuity)を簡単に解説― 知らないと想定外のコストになるインドの退職金制度 ―」
についてお話していこうと思います。
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・インド関連セミナーインドの法定退職金(Gratuity)とは、1972年支払退職金法に基づき、原則として10名以上を雇用する事業所で、5年以上勤務した従業員に対して支払いが義務付けられている退職一時金のことです。
インドにも法定退職金制度がある
インドで事業を開始した日本企業の担当者様から、「インドにも退職金制度はありますか?」というご質問をいただくことがあります。
日本では退職金制度を導入するかどうかは企業ごとの判断ですが、インドでは一定の条件を満たす場合、法律に基づき退職金(Gratuity)を支払う義務が発生します。
そのため、インド法人を運営するうえでは、人件費の一部としてあらかじめ制度を理解しておくことが重要です。
どの会社が対象になるのか
Gratuity制度は、原則として10名以上の従業員を雇用する事業所に適用されます。
また、一度この法律の適用対象となった場合、その後従業員数が10名未満になったとしても、原則として制度の適用は継続されます。 そのため、「現在は人数が減ったから対象外」というわけではない点には注意が必要です。
退職金は誰に支払う必要があるのか
一般的には、同じ会社で5年以上勤務した従業員が退職した場合、会社にはGratuityを支払う義務が発生します。 もっとも、従業員が死亡した場合や一定のケースでは、この5年要件が適用されないこともあります。日本では退職金を「会社からの功労金」と考えることもありますが、インドでは法律に基づく権利として位置付けられている点が大きな違いと言えるでしょうGratuityはどのように計算されるのかGratuityは、最後に受け取ったBasic Salaryなどを基礎として計算されます。
一般的な計算式は、最後の基本給 × 15/26 × 勤続年数となります。
ここで注意したいのは、計算の基礎となる給与が総支給額ではないという点です。住宅手当や通勤手当など、すべての給与項目が対象になるわけではなく、BasicSalaryおよびDearness Allowanceを基礎として算定されます。 そのため、給与体系によって将来の退職金負担額も変わることになります。
就業規則によっては会社負担が増えることも
実務上よく見受けられるのが、就業規則や雇用契約書によって法律以上の退職金制度を設けてしまっているケースです。例えば、「勤続年数に関係なく退職金を支給する」
「法律よりも有利な計算方法を採用する」
といった規定を設けた場合、会社はその内容に従って支払いを行う必要があります。
一度従業員に有利な制度を導入すると、後から法律水準まで引き下げることは容易ではありません。そのため、制度設計の段階で慎重に検討することが重要です。
Labour Code改正との関係
近年のLabour Code改正では、Gratuity制度についてもSocial Security Codeの中で整理されています。 また、有期雇用契約の従業員についても一定の場合にはGratuityの支給対象となるなど、従来制度から見直しが行われています。
もっとも、2026年7月現在においても、多くの州でLabour Codeに基づく州規則の整備・運用開始が待たれている状況であり、実務上は従来通り1972年支払退職金法(Payment of Gratuity Act, 1972)を前提とした運用が続いています。
今後、本格的な運用開始に伴い制度変更が行われる可能性もあるため、継続的な情報収集が必要です。
Gratuityは「将来の人件費」と考える
Gratuityは退職時に初めて発生する費用ではありません。
従業員が長く勤務するほど会社の負担額も増加するため、企業としては将来発生する人件費の一部として認識しておくことが重要です。
特に設立間もない会社では負担を実感しにくいものの、事業が安定し、勤続年数の長い従業員が増えてくると、退職金支払いが経営へ与える影響も大きくなります。そのため、採用計画や給与設計を検討する際には、Gratuityも含めた総人件費という視点で管理することが望ましいでしょう。
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