日本と中国の不正の違い(ソリューション)②

こんにちは、中国・上海の田中勇です。

本日は、前回に続き、日本と中国の不正に関連する、ソリューションついてお話します。

②費用対効果の考慮について、時間やお金のかかるシステムは、現実的ではありません。時間をかける必要があると従業員が動かないためです。時間やお金がかかる場合は会社の存続自体が危うくなります。しかしながら、費用対効果を考慮しても、実際の効果を得ることは容易ではありません。例えば、ITシステム投資おいては、日本の場合、ITへの支出は売上高の約1%ですが(業種によって異なります。機械機器製造0.9%、金融5.2%等)、ほとんどの企業が投資した資金を回収できていないと言われています。(企業IT動向調査報告書2012年)要因は、IT投資に関する責任所在が明らかでないこと、専門家が不足している、ベンダーとのコミュニケーションミス等あります。したがって、CIO(chief information officer:最高情報責任者)のようなIT専門のリーダーを設置し、経営者やベンダーと常に意見のすり合わせのできる体制を作ることが重要になります。

③不正対策防止策を実施について、主な対策としては、以下の通りです。

内部統制監査チームを導入・強化

モニタリングシステムを入れる

継続的なモニタリングの強化

外部の内部統制管理サービスを受ける(単発・継続)

内部告発制度の充実化

内部統制監査チームを導入・強化について、多くの日系中国子会社で実施されていますが、日本本社自身の内部監査に比べ、中国子会社では効果が薄い傾向があります。理由は、親会社から日本人の内部監査人が出張で実施しており、言語の壁や日程の制約があります。また、中国現地スタッフが非協力的だという理由もあります。不正発見を目的としていない内部監査が多いこと等も挙げられます。モニタリングITシステムを導入については、最新のITシステムを知ったうえで、何が自社にとって必要なのか、ゼロベースで考えることが重要です。継続的なモニタリングの強化については、一見効果は薄そうに見えますが、牽制という意味で非常に重要です。外部の内部統制管理サービスを受ける(単発・継続)については、金額も高くなりますが、より客観的な調査が可能になるというメリットがあります。内部告発制度の充実化について費用が少なくすみ、不正発見には効果絶大だと考えられます。

 

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