VAT還付

税務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「VAT還付」についてお話しします。

カンボジア進出企業の中において長く言われ続けてきたことの一つに、VAT還付の話があります。これまでは、VAT還付の手続きは、1年を超えることもあるほど煩雑でした。

 

これに対応し、税務総局(GDT)から、2018年6月、VAT還付の効果的・効率的な手続きの向上を意としたとPrakas576「VAT還付」が発行されました。

 

Prakas576の注目すべきポイントは、VAT還付を受けるにあたり適切な手続きを行う納税者は、およそ40営業日程度の期間で還付を受けられるとなったことです(ゴールド税務コンプライアンス証明書を保有する企業は、さらに短縮される可能性があります)。外交使節、外国協議会、国際NGOなどは、15営業日程度とされています。

 

Prakas576では、VAT還付を受けられる要件と還付手続きの概要を再定義しています。

 

要件

自己申告管理様式(Self-assessment regime)の場合において、中規模及び大規模納税者のみがVAT還付を受けられるとしています。小規模納税者の場合は、売上VATに対する仕入VAT残高を最大80%までしか受けられません。

 

中規模、大規模納税者は、下記の要件が適用されます。

・輸出業者、QIP企業などの投資企業として登録されている企業について、月次の仕入VATが売り上げVATを超過している

・その他の納税者について、3ヶ月以上連続して仕入VATが売り上げVATを超過している

・輸入の税関申告書、納税を証明する税関受取書原本、地元サプライヤーによる税金受領者原本などの、仕入VATを証明するものを有している

・VAT非課税の輸出品、サービスの証明書を有している

・適切なVAT、売上、仕入などの会計記録を有している

 

外交使節、外国協議会、国際NGOなどは、下記の要件が適用されます。

・GDTに登録している

・GDT所定の様式にてVAT還付の届け出をしている

・各請求書の合計額が税引き前200,000リエル(約500ドル)以上である

・各還付要求の合計額が税引き前200,000リエル(約500ドル)以上である

・購入したものが実際に公式の用途に使用されている証明書を有している

 

手続き

Prakas576での還付の手続きの要点としては、以下の通りとなります。

Prakas576では、月次納税申告においてVAT還付要求を完了しており、GDTにより決められている様式を適切に記入している納税者について言及されています。

実務上では、VAT還付の欄にチェックマークを入れ、GDTにカバーレターを提出するものとなっています。

 

毎回のこととしては、VATの請求書が有効なものであり、仕入VATが適切な月に申告されているか、GDT役員によるVAT還付の裏付け資料の監査が行われます。

 

ゴールド税務コンプライアンス証明書を保有する企業の利点としては、このDGTでの監査手続きが簡略化され、VAT還付手続きが高速化されることにあります。

 

迅速な還付を受けるため、適時に適切な会計記録の作成、関係書類の準備を整えられなければ、これが準備できるまで手続きが進まなくなるため、常に適切な会計記録等の作成、保持が必要となります。

 

このPrakas576の導入は、これまでの不透明で時間の浪費であった還付手続きを見ても、全ての企業にとって喜ばしいものになるとおもいます。

 

しかし、多くのサプライヤーは適切な請求書を発行している一方、もしサプライヤーが適切にVATの納税を行っていない場合、還付手続きがストップしてしまいます。現在、法令不遵守の納税者からVATを回収する役割は納税者側にあり、GDTにはないとされています。

 

法令遵守企業が、付遵守企業のためにVAT還付を受けられないという不合理な状況の改善が、今後のGDTの課題となるでしょう。

 

今週は以上になります。

 

西山 翔太郎

 

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