皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「カンボジア移転価格税制 その4」についてお話しします。
今週は移転価格文書(ローカルファイル)と文書化要件を見ていこうと思います。
移転価格文書とは、グループ企業との取引価格が独立企業間価格(ALP)であることを証明する文書で、その準備責任、説明責任は納税者側にあります。この文書作成により当該説明責任を果たすことになります。移転価格文書を作成・保管することにより、過去及び現在の実績・リスクに対応し、移転価格文書の分析結果を利用し、将来のリスクを軽減することができるため、移転価格文書の作成は重要となります。
移転価格文書には記載する内容としては、主に下記の項目が挙げられます。カッコ内は含めることもある項目となります。
事実分析(企業概要・取引フロー)
・ 会社概要、資本関係、事業概要、決算状況、取引関係図、主要製品セグメント概要、主要セグメント別販売高、主要顧客、主要仕入れ先等
・ 国外関連取引の概要
・ 財務データ
・ 移転価格設定方針
・ (沿革)
産業分析
・ 販売市場の動向分析、シェア、競合他社、政府による規制、製品ライフサイクル、販売流通チャンネル等の価格に営業を及ぼす産業全体又は市場の情報
・ (マーケットレポート)
機能分析
・ 法人及び国外関連者の研究開発活動の概要、製造活動の概要、マーケティング活動の概要、
・ 各関連者が負担しているリスク
・ 機能・リスクの分担状況と法人及び国外関連者の経済的位置付けの分析
独立企業間価格算定方法
・ 独立企業間価格算定方法を選択
経済分析
・ 比較対象企業の選定
・ 財務データのセグメンテーション及び分析、会計基準の差異に対する調整
移転価格文書において使用される移転価格算定方法として、OECD移転価格ガイドラインにおいて次の5つの移転価格算定方法が定められています。
・ 独立価格比準法(CUP法)
・ 再販売価格基準法(RP法)
・ 原価基準法(CP法)
・ 取引単位営業利益方(TNMM法)
・ 利益分割法(PS法)
多くの国において上記の方法が採用されており、選定に際しては、国外関連取引の内容、当事者が果たす機能、負担するリスク、比較対象取引データの入手可能性など様々な要素を検討する必要があります。
次回は、移転価格算定方法としてよく使用される、CUP法とTNMM法についてお話ししたいと思います。
今週は以上になります。
西山 翔太郎