退職後給付-確定給付制度の例題

会計

皆様、こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。今週は確定給付制度の例題のご紹介をしたいと思います。

 

例題37 会計年度が暦年のA社の年金制度に関して、次のような情報がある。2016年に行うべき仕訳を示せ。

 

2015年

2015年12月31日時点の確定給付制度債務 6,000,000円

2015年12月31日時点の制度資産     4,200,000円

 

2016年

当期勤務費用                 600,000円

制度資産への拠出額             1,000,000円

制度資産からの支払額             500,000円

制度資産に係る収益             500,000円

数理計算上の差異(損失)          380,000円

 

・制度資産への拠出と制度資産からの支払いは、2016年12月31日に行われた。

・2015年12月31日時点で年金制度に関する累積包括利益はなかったものとする。

・割引率は10%とする。

 

解答

2015年12月31日時点での退職給付引当金は確定給付制度債務の6,000,000円から制度資産の4,200,000円を引いた1,800,000円となっています。

2016年のいくつかの項目のうち、制度資産からの支払額に関しては会計上動きません。ならなぜなら制度資産というものは退職給付引当金を算定する上での借方の構成要素であるのに対し、この支払によって退職給付債務というものが減少しますが、この退職給付債務に関しても退職給付引当金を算定する上での貸方の構成要素となるからです。したがって仕訳上は以下のようになります。

借)退職給付引当金  500,000        貸)退職給付引当金  500,000

 

まずは純損益で認識する確定給付費用の算定を行う必要があります。当期勤務費用が600,000円であり、利息費用が(6,000,000-4,200,000)×10%=180,000円となります。

仕訳上は以下のようになります。

借)退職給付債務    780,000       貸)退職給付引当金  780,000

 

次にその他の包括利益で認識する確定給付費用を算定します。ここには数理計算上の差異などが入ってきます。

たとえば380,000円に関してすでに損失として認識されていますし、制度資産にかかる収益(実際)500,000円と制度資産にかかる期待収益4,200,000×10%=420,000円にも差異が80,000円利益として認識されます。

したがって仕訳上は以下のようになります。

借)その他包括利益   300,000       貸)退職給付引当金  300,000

 

最後に制度資産への拠出額を計上します。

 

借)退職給付引当金  1,000,000        貸)当座預金    1,000,000

 

今週は以上です。

会計処理で不明点等ございましたら kumagai.keisuke@tokyoconsultinggroup.com

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