「退職後給付-確定給付制度について」

会計

皆様、こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。今週は退職後給付-確定給付制度について例題を用いてご説明いたします。

 

 

確定給付制度とは、退職後給付の制度の一つであり、従業員に給付する退職後給付が予め定まっており、企業が実際に負担(拠出)する費用が投資リスクや数理計算上のリスクを受けるため、変動する可能性がある制度のことをいいます。したがって、企業は、拠出する金額の他、リスクの変動に応じて随時費用、利益計上を追加で行うことになります。

 

 

<確定給付制度に関する会計の手順>

STEP:1 確定給付制度の積立不足または積立超過の算定

 確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して、積立不足または積立超過額を算定する。

 

STEP:2 確定給付負債(資産)の純額の算定

 積立不足の場合:確定給付負債を認識する。

 積立超過の場合:積立超過額とアセット・シーリングのいずれか低い方で確定給付資産を認識する。

 

※アセット・シーリングとは日本基準にはないもので、IFRS特有の基準です。制度から

の資産の返還(払い戻し額)または、制度への将来掛金の減額により、企業が利用可能な

経済的便益の現在価値をいいます。IFRSでは制度資産は、アセット・シーリングまでしか

計上することが出来ないため、日本基準より計上できる金額は小さい金額になります。

 

STEP:3 純損益で認識する確定給付費用の算定

 確定給付制度債務に関連する「勤務費用」と「確定給付負債(資産)の純額に係る利息純

額」を算定し、純損益に認識する。

 

STEP:4 その他の包括利益で認識する確定給付費用の算定

 「確定給付負債(資産)の再測定」を算定し、その他の包括利益に認識する。

 

※この確定給付負債(資産)の再測定とSTEP:3までで算出した理論上の確定給付債務(資

産)の差異額は、その他包括利益(つまり利益ではなくまず資本計上される)に計上され

ます。

※過去勤務差異が発生した場合は、その差異はその他包括利益ではなく、純損益として

即時認識を行います。

 

今週は以上です。

会計処理で不明点等ございましたら kumagai.keisuke@tokyoconsultinggroup.com

までお気軽にご連絡ください。   

 

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