こんにちは、カンボジア駐在員の東真奈美です。
今回は、昨年公布された、カンボジアの民法についてお伝えしたいと思います。
暗黒の時代と言われているポル・ポト政権時に知識人の多くが殺害され、その後も内戦が続いていたため、カンボジアには、法曹関係者が全土で一桁しか生き残らなかったようです。
そこで、カンボジアの司法について、各国が支援を続けており、日本はその中でも「民法」について支援を行ってきました。1920年にフランス統治下で制定された民法以来、カンボジアには体系的な民法がなかったので、大々的に追加変更を加えて、より現代社会に即した体系的な法典となるように「新民法」は作り上げられました。
新民法の導入による大きな変化は、法定相続人や抵当権などの新しい制度が導入されたことです。これまでの慣習に基づいた相続が、民法に基づいて行われることになりますし、抵当権の導入によって、経済活動の活発化につながっていくと期待できます。
カンボジアの新民法の起草は、日本人の学者が中心となって行ったので、日本民法に非常に似ていますが、最新の概念を取り入れた国際標準やカンボジアの慣習、伝統などいくつか重要部分に相違が存在します。
今後の課題としては、新民法に定められた権利を行使するために必要な周辺制度の整備です。特に、カンボジアでは、まだ登記制度が完全ではないので、早急に整備する必要があります。
今年の4月からは、新民法の普及プロジェクトが開始されており、法曹人員の育成を目的としています。特に裁判官の養成は、新しい法律が適正に解釈、運用して行くための基礎となるため、とても重要です。
現状のカンボジア裁判所は、裁判官の不足・汚職・適正に法律を運用しないなどの理由で非常に低いので、新プロジェクトの活動は期待されています。
以上