■カンボジアでのIFRS
皆様こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。
今回はカンボジアの会計基準ベースとなるIFRSと日本基準の基本的な違いに着目してみました。
IFRSの基本的な考え方として「原則主義」というものがあります。この原則主義とはどのようなものでしょうか。
原則主義とは、ある会計基準を設定するにあたり、詳細な規定は設けず、その会計基準の考え方や枠組みだけを指定して、各企業にその経済的実態に基づいてその基準の採用方法の決定を委ねるという考え方のことをいいます。
この反対が「規則主義」です。規則主義とは、ある会計基準を設定するにあたり、様々な状況を想定し、その状況ごとに細かな規定を定めることによって、各企業の会計方針の選択の裁量をあまり認めない考え方のことをいいます。現行の米国基準や日本基準はこの考え方に基づくと思われます。
IFRSは原則主義に基づいています。したがってある会計基準を適用するにあたり、許される処理の選択数が多いことを意味します。企業は自社の状況や経済環境を分析し、一番経済的実態を反映できる会計処理を選択することが期待されています。このような状況のために、複数認められる会計処理から一つを選択した場合、それを選択した根拠を注記として記載することが求められることになります。
このような理由から、IFRS基準を採用した開示書類は注記量がかなり多いものになっています。
IFRS対応をしっかり行うためには、会計の考え方を根本から理解し、会計処理を実際に適用したり、監査人に説明対応を行うことができる人材が必要になるでしょう。
■カンボジア企業経営への心得
皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
今回は、カンボジアにおける企業経営でのお困りごとについてお話しします。
カンボジアに限りませんが、海外子会社の経営がブラックボックス化してしまう、問題があるが何から手をつけていけば良いかわからないといった声が弊社に多数寄せられます。しかし、弊社がこれまで支援させて頂いた企業様の問題は、なにもカンボジア(海外)という外部環境の問題だけではありませんでした。むしろ、多くのお困りごとは、主に以下の3つの内的問題に分類されます。
1つ目は人の問題です。それは経営者と社員の立場による危機感のギャップです。社員の意識を変えなければいけません。しかし、社員の意識を変えるには非常に時間が掛かりますので、外科手術のような短期的なやり方ではなく、漢方薬のような長期的なやり方で変えなければなりません。
2つ目はプロセスの問題です。つまり行動の問題です。社員の行動力・実行力が足りていないと財務に問題が出てきます。
そして3つ目は財務の問題です。財務とは結果であり、資金繰りや予算達成率等に表れてきます。財務の問題に対しては、お金の流れを可視化して、早急に処置すべきかどうかを決定しなければなりません。また、ここでは外科手術のような短期的な手法が必要になる場合があります。例えば、人件費などの固定費を削減することが挙げられます。