皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「カンボジア国外提供サービスに関わるVAT税率」についてお話しします。
カンボジアでの税制上、カンボジア国内事業者(納税者)がカンボジア国外向けサービス(Exported Services)提供を提供する場合、0%のVAT税率が適用するとされています。しかしながら、将来の税務調査において追徴課税を回避するため、何がカンボジア国外向けサービスに該当するのか、どのような証拠書類を準備する必要があるのかが不明のままとなっていました。
この問題に対し、カンボジア税務総局(GDT)は、2019年6月10日にNotification 9898を公布しています。Notification 9898の概要は以下の通りです。
カンボジア国外で提供されるサービス(Exported Services)とは
カンボジア国内事業者により、カンボジア国外において提供されるサービスであり、サービスの提供においては、人員の派遣、現地での従業員、技術者の雇用により提供されると規定されています。
例えば、A会社(カンボジア国内事業者)が従業員をB会社(カンボジア国外事業者)へ派遣し、会計、税務、法務、貿易、リサーチや分析といったコンサルティング業務を遂行する場合が該当します。このサービス提供においては、0%のVAT税率が適用されます。
カンボジア国外で使用されるサービスとは
カンボジア国内事業者により、カンボジア国外企業に提供されるサービスであり、当該サービスがカンボジアの人・企業等の経済活動に何ら関係しないものと規定されています。
例えば、A会社(カンボジア国内事業者)がB会社(カンボジア国外事業者)に対し建築設計、システムデザインや基本定款の草案作成などのサービスが該当します。この場合、B会社は提供されたサービスのカンボジア国外のみで使用していることが条件となります。A会社は、B会社に提供したサービスがカンボジア国外でのみ使用されるという意図や、実際の使用状況を証拠としてGDTに提出する必要があります。このB会社に対するサービス提供においては、0%のVAT税率が適用されます。
仮にA会社が提供したサービスがB会社により、何らかの形でもカンボジアに関連する事業目的や経済的利益のために使用された場合、カンボジア国外で使用されるサービスとは看做されなくなります。この事実をGDTが発見した場合、A会社はGDTに対し10%のVAT納付義務が発生します。
A会社(カンボジア国内事業者)がB会社(カンボジア国外事業者)へ従業員を派遣し、貿易関係のコンサルティング業務を遂行し、B会社がカンボジアに商品を輸出している場合、0%のVAT税率が適用されず、10%のVATを徴収する必要があります。
同様に、A会社が、B会社のために、輸出品の検品等を請け負った場合、カンボジアから輸出される前に提供されているため、カンボジア国外で使用されるサービスとは看做されず、10%のVAT税率の対象となります。
また、0%のVAT税率の適用を考えている企業は、下記の書類を準備する必要があります。
- サービス料金、サービスの種類及び提供場所の明記されている契約書
- カンボジア国外からカンボジアの銀行への送金記録
- 請求書元本
- 適切な会計記録
今週は以上になります。
ご不明な点などがありましたら、お気軽にご連絡下さい。
株式会社東京コンサルティングファーム カンボジア拠点
西山 翔太郎
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