カンボジアにおける環境モニタリング報告書(EMR)作成ガイドラインの概要

法務

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループカンボジア拠点の松木 祐里香です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「カンボジアにおける環境モニタリング報告書(EMR)作成ガイドラインの概要」についてお話していこうと思います。

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【カンボジアにおける環境モニタリング報告書(EMR)作成ガイドラインの概要】

 2025年8月25日、カンボジア環境省(MOE)は Prakas(政令)第6985号 を制定し、「環境モニタリング報告書(Environmental Monitoring Report:EMR)」の公式ガイドラインを提示しました(以降「本ガイドライン」)。この制度は、事業者に対し、建設・運営・閉鎖の各段階において環境要件への適合を継続的にモニタリングし、報告する義務を形式化するものです。

 以下、本ガイドラインの主な内容と、事業者が留意すべき点を整理します。

【適用対象】

 本ガイドラインは、以下のいずれかの環境承認を受けた開発プロジェクトに適用されます。

  1. 完全環境影響評価(FEIA,Full EIA)承認
  2. 初期環境影響評価(IEIA,Initial EIA)承認
  3. 環境保護協定(EPA,Environmental Protection Agreement)承認

 これには、首都・州の環境局を通じて承認を受けたプロジェクトも含まれます。

 さらに、カンボジアの環境法典(Environmental Code)第696条・第699条では、事業者は内部的な環境マネジメント体制を構築し、四半期または半期ごとに報告書を提出する義務を負うと定められています。

 一方、環境保護法(Environmental Protection Law)やそれを補完する Sub-Decree 72 などでは、虚偽報告やモニタリング義務不履行に対して罰則を設けており、違反時には事業停止命令、罰金(最大 KHR 30,000,000~KHR 50,000,000 程度)、あるいは懲役刑の可能性があります。

【報告頻度および適用フェーズ】

 本ガイドラインに従うモニタリング報告は、原則として 3か月または6か月ごと の定期的な実施が求められます(プロジェクトの性質・規模に応じて)。

 また、建設期、運用期、閉鎖期という すべての段階 において、環境モニタリングおよび管理の実績を報告対象とします。報告先は、MOE または関係する州・県の環境局です。

【報告書(EMR)に求められる内容】

 Prakas 6985 によれば、EMR の構成や主要な記載項目として、以下が含まれる必要があります。

区分 主な記載内容
モニタリングデータ 大気、水質、騒音、廃棄物などの環境パラメータの測定結果
適合性評価 承認済みの環境管理計画(emp)や eia 文書、適用される環境規制との整合性
緩和策とその効果 措置実施状況およびその効果、改善の必要性
地域住民対応 住民との対話状況、苦情処理体制、対応実績
是正措置案 必要に応じた改善アクションの提案

 EMR の構成詳細は、本ガイドラインの付属書(annexe)にて具体的な様式等が定められています。

 なお、MOE の提出テンプレートから逸脱する形式をとることが可能かどうかについては、本ガイドライン上は明言されていません。ただし、提出される報告が最低限の環境要件および EMP に適合していれば、MOE の承認を得た形式変更は許され得ると解釈されます。

【事業者にとっての留意点と対応策】

 本ガイドラインの導入を踏まえ、事業者としては以下の対応が推奨されます:

  1. 報告義務の把握と適時対応

 建設・運用・閉鎖各フェーズにおけるモニタリング・報告義務を整理し、四半期/半期報告のスケジュールを確立すること。

  1. モニタリング体制の整備

 環境パラメータの測定方法、頻度、機器・試験機関の選定を EMP や EIA 文書と整合させること。

  1. 報告フォーマット・様式の遵守

 本ガイドライン付属書に記載の様式および必須記載項目に沿った報告書を作成すること。テンプレートの変更を希望する場合は、MOE の事前承認を得ることが望ましい。

  1. 法令遵守と罰則リスクの認識

 虚偽報告、不履行、モニタリング結果の未処理などには、事業停止命令、罰金、懲役刑といった法的リスクが伴うことを認識すること。

  1. 記録管理と証拠保持

 モニタリング記録、改善措置実施記録、住民対応記録などを適切に保管し、監督機関対応に備えること。

以上、今週もお読み頂きありがとうございました!!

 

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