皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
さて、今回のテーマは「管理可能性」です。
我々は常に外部環境に身をさらしており、どんな能力のある人間でも自分の力で全く管理・コントロールできなかったという経験があることでしょう。
そもそも、管理ができることがうまく管理できなかったのであれば、それは管理者としての能力が問われる訳なのですが、その事象の「性質」として管 理ができないことが想定通り管理できなかったことに対しては、我々はどのように対処すべきなのでしょうか。
例えば、公共機関での手続きが公共機関スタッフの過失による手続き遅延やミス。
これらは、我々からすれば公共機関をコントロールできるはずがないので、管理不可能なのでどうしようもない、諦めるしかない、と考えることが一般 的でしょう。
実際に、多くのコンサル会社の顧客との契約書は、このような外的要因による責任範囲を明確に定め、コンサル会社が責任を取ることは出来ないとして います。
確かに管理が可能ではない事象に対して我々が責任を取る、評価を受けるということは理にかなっていません。
しかし、もし我々が管理不可能な事象に対するリスクマネジメントをしていなかったのであれば、この点に関しては我々の責任だと言えると私は思いま す。そもそも管理不可能であったということは、不確実性が高く損失リスクがあったということであり、その損失リスクをどのように対処したのかとい う点が本質的な議論の対象になります。
管理不可能であることに対し、リスクレベルを設定し、そのレベルに応じた事前の対策を考え、マネジメントを実行する。
リスクマネジメントの手法に関しての議論はここでしませんが、我々が焦点を当てるべきは、管理不可能性を正確に認識していたか、認識していたので あればそのリスクに対するマネジメントは行っていたのか、リスクマネジメントを行っていたのであればそれは適切なマネジメントであったのか、適切 でなければそれはなぜか、など、「リスク管理」という分野での管理可能性を議論しなければなりません。
これは仕事に限らず、人生の中でも様々な管理不可能な事象が身の回りに起こりますが、その時に感じる怒りや理不尽さなどを押し殺し、外ではなく内 側に合理的な意見を求める必要性があります。外側に意見を求めてもそこには単なる空虚があるだけです。
澤柳 匠