労働時間と賃金

労務

こんにちは、カンボジア駐在員の佐藤です。

今回は労働時間と賃金についてご説明致します。

▼労働時間
労働法で定められている基本労働時間は、1日8時間もしくは週48時間となっています。また一週間に少なくとも1日(24時間)休みを与える必要があります。シフト制を導入している製造業では、1日9時間労働、週休2日(週45時間労働)を実施している企業様もあります。また、22時から5時までの時間は労働法上「夜間労働」となり、通常給与の130%を支払う義務が生じます。

緊急かつ例外的な場合は時間外労働が認められますが、1日最大2時間に制限されています。しかし実務上は、カンボジア人労働者との間で時間外労働の合意をとることで、2時間以上の時間外労働を行うことが可能です。
時間外労働の給与に関しては、時間帯によって以下のように異なります。給与割合の増加に加え、食事もしくは食事費用として2000リエルの現金を支払う必要があります。

労働時間帯   給与割合
通常の作業時間 150%
夜間又は日曜日・祝日 200%

 

▼有給休暇
有給休暇は、連続勤務1ヶ月ごとに1.5日の割合で会社から労働者へ与えなければなりません (年間18日)。ただし、有給休暇の使用権については勤続1年以上の労働者にのみ与えられます。また、有給休暇は勤続3年ごとに1日の割合で増加します。
実務上、製造業など有期雇用契約(1年もしくは2年契約)を労働者と結ぶことが多い企業では、1年目から有給の使用権を認めることも少なくなくありません。

▼最低賃金
最低賃金の規定は、対象企業を製靴、繊維および縫製業としていますが、実務上その他業種の製造業でも労働者確保のために従わざるを得ない状況にあります。
労働・職業訓練省通達は2014年1月に月額最低賃金は95USドルに引き上げると発表しており、かつ法定手当である健康手当も毎月5USドルを別途支払う必要があるため、正規労働者の実質の月額最低賃金は100USドルとなっています。その他の必要な手当に関しましてはバックナンバー(カンボジアの給与について)をご覧ください。

最低賃金に関しては、以下の表のようにここ数年で急増しています。カンボジア政府は、2010年の最低賃金引上げの際に2014年まで引上げを行わないことを公言していましたが、デモやストライキの勃発により2013年の最低賃金引上げが実施されました。

 

2000年 2006年 2010年 2013年 2014年
45USD 50USD 61USD 80USD 100USD

今後についても、2018年までに月額最低賃金を160USDまでに引き上げる5カ年計画が発表されており、安価な労働コストをメリットとしてきた進出企業にとっては大きな懸念事項の一つであると言えるでしょう。
しかし、カンボジア政府も外資誘致のために近隣諸国との相対的な賃金安を継続的に考えているため、カンボジアの最低賃金が上がることの影響に関しては一概に大きな問題とは言えず、むしろ個々の企業経営によって影響の大きさに差が出てくると思われます。

 

以上

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