カンボジア税務・労務アップデート

税務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「カンボジア税務・労務アップデート」についてお話しします。

 

2018年7月29日のカンボジア国民議会選挙前後で、目まぐるしく法改正や新しい省令の発行などが乱発されています。その中でも、いくつかインパクトの大きいものを紹介します。

 

税務に関しては、2018年8月21日に税務総局(GDT)より発効されたInstruction 11946において、関連者間の利率の決定に関する解釈指針が出されました。

 

もともとは、2014年初頭に導入されたCircular 151により、カンボジア納税者は、GDTへのローン契約書の提出は必要となりますが、国内外の関連者から金利ゼロでの貸付・借入が可能でした。しかし、2017年10月にカンボジアにおける包括的な移転価格指針、Prakas 986が発行されて以降、金利ゼロの貸付・借入が有効かどうかの解釈に大きな議論を呼んでいました。

 

Instruction 11946は、その議論に終止符を打ち、関連者間の貸付・借入における金利については、Prakas 986に規定された「独立企業間価格」に準拠しなくてはならないとされました。つまり、同様の環境で第三者に貸付を行う、又は借入をする場合に適用される金利をもとに決定されなければなりません。

 

少なくとも今年度中には、現在行っている関連者間の貸付・借入の契約について見直す必要があります。参考までに、GDT発表の2017年の金利の市場利率として、USドルの借入9.31%、リエル12.12%となっています。

 

労務に関しては、2018年7月19日、労働省(MLVT)と経済財政省(MEF)の合同Prakas 714が発行されました。このPrakasは同年8月1日から発効となり、MLVT の公共サービスに関する2012年12月発行の合同Prakas 1009の内容を差し替えるものになります。

 

最もインパクトの大きいものとしては、事業所開設申告(Declaration of Company Opening)の有効期限になります。以前は、MLVTにおいて一度だけ行うだけのものでしたが、このPrakas 714では3年毎にMLVTに事業所開設申告を行わなければならないとされています。

 

合同Prakas 714は2018年8月1日から発効となっていますが、2018年8月1日時点で3年以上存続している全ての企業がこの条件に従いMLVTで再申告しなければならないか、それともこの発行日をスタートとしてそこから3年毎に申告すれば良いかなど、いつも通り細部については不明のままです。

 

さらに、合同Prakas 714では給与台帳、労働許可証、従業員割当など、いくつかのMLVTサービスの料金・期間が改訂されました。特に、今まで8営業日とされていた労働許可証や従業員割当申請の発行や許可までの期間が8営業日から20営業日に延長されました。また労働許可証申請のための外国人従業員の労働契約書の認定については、いままで公式の料金の設定はありませんでしたが、今後は40,000リエルの料金及び15営業日が必要とされました。

 

このように、カンボジアにおいては、企業にかなりインパクトのある法令等が突然公布され、即日又はかなり短い期間で施行されます。また公布される法令等は不明瞭なものが多く、どう対応するべきか判断に困るものがほとんどです。すべての法令等に即対応していては本来の事業活動にも影響を及ぼす可能性があるため、まずは専門家や機関に相談することをお勧めします。

 

今週は以上になります。

 

西山 翔太郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事

ページ上部へ戻る