カンボジア税務:前払法人税

税務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「カンボジア税務:前払法人税」についてお話しします。

 

カンボジアでの税務について、給与税(Tax on Salary)、源泉徴収税(Withholding Tax)、付加価値税(Value Added Tax)、前払法人税(Prepayment of Tax on Profit)など、月次申告の対象となる主な税金をそれぞれの概要を紹介してきます。

 

今回は、前払法人税(Prepayment of Tax on Profit)の概要について紹介します。

 

事業所得税は、Profit TaxとMinimum Taxの2つに分類されており、毎年の所得に対する 20%または売上高の1%のいずれか高いほうを事業所得税として扱うこととなっています。そのため、毎月対応するものと年に1度のものに分かれます。

 

前払法人税とは、VATを除いたすべての税金を含む売上高の1%を毎月申告納付する制度をいいます。前払法人税は年度末に申告する法人税(Tax on Income)の算出額から差し引かれます。また、売上高の1%が基準となっているため、利益が出ていない赤字企業に対しても適用されます。これは法人税の支払いを年1度とすることで未徴収となることを防止するために設けられておりますが、カンボジア企業にとっては毎月納付しなければならないため、特に利益率の低い小売業者や縫製業の企業にとってキャッシュが貯まらないといった負担となっています。

 

法人税免除を受けているQIP事業者の場合は、前払法人税の免除を受けることができます。しかし、毎月の申告義務は免除されているわけではなく、「ゼロ申告」(Nil Monthly Return)をする必要があります。

 

また、前払法人税はよくミニマム税(Minimum Tax)と混同されますが、ミニマム税とは、VATを除くすべての税金を含む年間総売上高の 1%に相当する金額を納付する税制のことです。法人税とは別に、利益または損失に関係なく、最低限の税負担を義務づけています。

 

前払法人税は毎月対応するもので、ミニマム税は年次税務申告時に対応するものとなりますが、毎月の売上高の1%である前払法人税と、年間総売り上げの1%であるミニマム税が同額となるため、混同されてしまいますが、厳密には異なる税制度です。

 

前払法人税の納付額は、年間の法人税額又はミニマム税額から控除されるため、年間法人税額がミニマム税額を超える場合は、前払法人税との差額を納付し、ミニマム税額が年間法人税額額を超える場合は、前払法人税額とミニマム税額が一致するため、年次申告時点での納付額は実質ゼロになります。

今週は以上になります。

 

株式会社東京コンサルティングファーム

カンボジア拠点

西山 翔太郎

 

 

 

 

 

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