皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループカンボジア拠点の谷坂 映歩です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「カンボジア 2021年投資法施行規則の採択①」についてお話していこうと思います。
目次
【カンボジア 2021年投資法施行規則の採択①】
カンボジア政府は、2023年6月26日に2021年10月15日付のSub-Decree 139にて、「投資法を実施するための包括的な法的枠組み」(以下、投資法)の確立を採択しました。2021年の投資法は、投資プロジェクトを規制する新たな規制枠組みと投資優遇措置を導入するものになります。
Sub-Decree 139は、投資プロジェクトの登録手続きや投資優遇措置の詳細を規定するだけでなく、カンボジア評議会(Council for the Development of Cambodia(以下、CDC))や州/市投資小委員会(Provincial/ Municipal Investment Sub-committee(以下、PMIS))に対する適格投資プロジェクト(QIP)への登録に不適格なものをより明確にするための新たなネガティブリストも導入されています。
※投資プロジェクトは、「QIP」、「QIPの拡張」、「保証投資プロジェクト」を指すと明確に定義されております。
以下にSub-Decree 139の主な法的要素を示しております:
1.投資プロジェクトの登録手続き
2021年の投資法は、旧法における2段階の登録手続き(登録証明書(登録証)の発行による単一登録手続きに取って代わったものになります。登録証には、機械読み取り可能なバーコード/QRコードやその他技術の搭載によって登録された投資プロジェクトに関する初期データが含まれているため、他の関連登録や投資プロジェクトの実施に使用することが可能となります。
また、Sub-Decree139により投資プロジェクトの登録には、書面申請とオンライン申請のどちらかを選ぶことができます。また、登録証明書の発行までの期間が20営業日に変更されました。(以前は30営業日)
Sub-Decree 139は、登録証の発行がカンボジア適用法に基づき必要とされる他の営業許可証の取得を免除できるものではない事を明らかにしておりますので、さらに詳しく知りたい方は、Sub-Decree 139を確認してください。
また、関係当局が適切な理由なく営業許可証の発行を送れたとしても、投資プロジェクトの実施を妨げるものではないものとされております。
※登録書の発行日がプロジェクト実施の開始日となります。
2.ネガティブリスト
Sub-Decree 139では、QIPの投資対象がネガティブリストの不適格投資活動リスト(「ネガティブリスト」)に該当しない場合、または最低投資資本基準額を下回らない場合に、投資優遇措置を受けることができるとされています。新たなネガティブリストは包括的なものであり、農業、サービス業、工業、インフラストラクチャーの4つの投資セクターに基づいて分類された特定の事業活動を含んでおります。特定の事業活動への投資は、プロジェクトがネガティブリストに記載された基準を満たしていない場合、QIP登録の対象となります。
3.投資インセンティブ
Sub-Decree 139は、投資家に対して非常に細かく優遇措置を規定しています。
QIPプロジェクトの拡大
(1)既存生産の拡張、(2)同一生産ライン内での生産対象の多様化による拡張、(3)生産性の向上や環境保護を目的とした最新技術導入による拡張、(4)基本的な電気通信サービスを提供するインフラの拡張、またはCDC/PMISが承認したその他の形態による拡張が含まれます。
4.投資プロジェクトの購入、売却、合併
投資プロジェクトは、投資家(CDC/PMISに登録された投資プロジェクトを実施する者と定義される)によって購入、売却、合併することができます。投資プロジェクトの買収・合併を希望する者がまだ投資家であるとみなされない場合には、CDC/PMISに書面で申請する必要があります。
※現在の実務に基づけば、(CDCに登録されていない)通常の商業会社は、QIPとして登録された投資プロジェクトを取得することはできません。
また、CDC/PMISの事前承認なしに投資プロジェクトを売却、購入、合併することは、購入者から投資優遇措置、保証、保護を受ける権利を奪うことになりますので、ご留意ください。
5.コンプライアンス証明書
以前の規制枠組みでは、投資家は各会計年度の90営業日以内にコンプライアンス証明書(以下、COC)を申請する必要がありました。しかし、Sub-Decree139では、投資プロジェクトは、投資および税制優遇措置の損失を避けるため、税務申告書の提出締切日の翌日から20日以内にCDC/PMISに対して半期および年次報告書の提出を義務付けています。投資家からの半期報告書と年次報告書の受領後、投資家に対してCOCが発行されることになります。
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谷坂 映歩
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