皆様、こんにちは。カンボジア駐在員の安藤です。
本日は、カンボジアでの「社債」についてお話ししたいと思います。
社債とは、会社が資金調達を目的として、投資家からの金銭の払込みと引き替えに発行(起債)する債券のことです。
カンボジアの社債については、昨年の2017年より制度整備がされており、2017年8月に、国内の証券業界全体の管理運営を行うカンボジア証券取引委員会(SECC)が社債発行に関する規制を定められていました。
また、また同年11月に、カンボジア国立銀行(NBC、中央銀行)が商業銀行やマイクロファイナンス機関による社債発行および株式上場に関する省令を公表し、金融機関も総資産の20%未満まで社債発行が可能となっていおりました。
2018年には、カンボジアのマイクロファイナンス(小口金融)大手であるハッタ・カクセカー(HKL)が5月7日に世界銀行グループの国際金融公社(IFC)の支援の下、同国初の現地通貨リエル建て社債発行をSECCに申請しています。
IFCは同社債が発行された場合に、2,000万ドル相当を買い入れ、カンボジア国内の債券市場形成を支援するとのことです。
そして、8月初めにHKLがNBCの承認を取得し、カンボジアで初の社債を遂に発行します。HKLは、社債に約800億リエル(約1970万ドル)を提供し、投資家からの需要が予測を上回る場合には、追加で400億リエル(985万ドル)提供するとのことです。
債券の満期は3年、年間表面利率は7.5~8.5%です。
事業拡大を目指す企業の資金調達手段として社債発行が広がれば、カンボジア国内の債券市場拡大による経済成長の加速が見込めます。そのため、社債発行に対する支援の動きが今後高まると考えられます。
例えば、国内の証券市場を運営し、株式などの売買取引を行う場を提供しているカンボジア証券取引所(CSX)は、2017年12月に「債券市場に関するルール」を発表し、社債発行申請に関する相談を受け付けるとし、申請の際はCSXに連絡するよう企業に呼び掛けていました。
またアジア開発銀行(ADB)は、2018年2月に「ASEAN+3 BOND MARKET GUIDE」のカンボジア版を発行し、法規制や債券市場の特性、コストなどの情報提供を行っております。その結果、企業や金融機関は社債発行に関心を寄せ、複数社が社債発行を検討したとのことです。
社債は、発行側にとって資金調達が容易なことや資金調達コストが抑えられることなどのメリットがある上に、投資側にも利率と満期が確定していることにより低リスクで利回りを確保できるメリットがあります。
その一方で、企業の社債発行が進んだ場合、国内の債券市場に投資を呼び込むための方策や、債券不履行(デフォルト)リスクへの対応などの課題が挙がるとみられており、今後の動向が注目されております。
また、カンボジアはドルが普及していますが、効果的な金融政策や少額融資希望者への融資促進のために、リエルの普及や利用促進を推進されています。
今週は以上といたします。
今週も読んでいただき、誠に有難うございます。
次回も皆様に有益な情報を提供できたらと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。
安藤 朋美