皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「カンボジア税務:給与税」についてお話しします。
カンボジアでの税務について、給与税(Tax on Salary)、源泉徴収税(Withholding Tax)、付加価値税(Value Added Tax)、前払法人税(Prepayment of Tax on Profit)など、月次申告の対象となる主な税金をそれぞれの概要を紹介してきます。
初めに、給与税(Tax on Salary:ToS)の概要について紹介します。
をカンボジアで給与税を考えるにあたって考慮すべき事項は、「居住性」と「所得源」となります。
カンボジア居住者の場合は、カンボジア国内外で発生した所得全てが給与税の対象となります。非居住者は、カンボジア源泉の所得に対してのみ給与税の対象となります。
居住者、非居住者の区別は、以下の基準で判断されます。
1.カンボジアに住所がある場合(カンボジアにおいて一軒家、アパートなどの居住地を所有、賃借、又は使用できる状態で所有している)
2.カンボジアに主要居住地を所有している場合(家族の居住、銀行口座所有、社会活動の有無などを行う経済拠点の有無で判断)
3.課税年度中の12ヶ月のうち、カンボジア滞在日数が182日以上に達する場合(滞在日数は連続である必要はなく累積で数えられ、1日に満たない滞在の場合は1日として数えられる)
上記に該当しない場合は、非居住者となります。
居住者の場合、給与税として課税対象となるものは、就業活動から得た所得全てになります。具体的には以下のものになります。
1. 給料
2. 賞与
3. 時間外勤務手当
4. その他諸手当
5. 補償金
6. 雇用者が提供した貸付金および前払金など
給与税の課税対象とされないものには以下のものがあります。
1. 従業員が社用で支払った前払の経費(常識の範囲内で、領収書があるもの)
2. 退職手当
3. 制服や、社用品
4. 定額の出張手当
また、扶養家族控除として、専業主婦又は主夫となっている配偶者がいる場合、及び扶養家族1人当たり15万リエルの所得控除があります。
給与税率は以下の表の通りになります。(1ドル = 4,000リエル)
給与額(リエル) |
給与額(ドル) |
税率 |
控除額(リエル) |
0 ~ 1,200,000 |
0 ~ 300 |
0% |
0 |
1,200,001 ~ 2,000,000 |
300 ~ 500 |
5% |
60,000 |
2,000,001 ~ 8,500,000 |
500 ~ 2,125 |
10% |
160,000 |
8,500,001 ~ 12,500,000 |
2,125 ~ 3,125 |
15% |
585,000 |
12,500,001 ~ |
3,125 ~ |
20% |
1,210,000 |
例えば月額給与が1,500ドル、働いている配偶者及び12歳の子どもがいる場合の計算方法は以下の通りになります。
1,500ドル X 4,000リエル = 6,000,000リエル
働いている配偶者は控除の対象となりませんが、12歳の子どもは控除対象となりますので、給与課税対象額から控除します。
6,000,000リエル – 150,000リエル = 5,850,000リエル
となるので、上の表から税率は10%となります。
5,850,000リエル X 10% = 585,000リエル
この額から控除額を引いた金額が、給与税額となります。
585,000リエル – 160,000リエル = 425,000リエル
以上が、給与税の計算方法となります。
次週は、給与以外の供与品(フリンジベネフィット)について説明します。
今週は以上になります。
西山 翔太郎