e-Socialについて①

労務

こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。

今週はブラジル労務について記載いたします。

 

現在ブラジルでは、政府主導による法人管理のシステム化が進められており、Nota Fiscal等を含む、SPED(Sistema Público de Escrituração Digital)の構築と運用が実施されています。この「システム化」は、単に企業がERP等の管理ソフトを活用する様に推奨しているというものではなく、あらゆる企業活動を政府が適時に管理すべく、政府管轄によるシステム(SPED)を通して実行させるという、極めて大規模な取り組みです。例えば、金銭取引以外の事業取引(移動や無償支給)等を含む、取引の記録であるNota Fiscalや、税務コンプライアンスを管理するSPED Fiscal(総称)、会計全般を管理するSPED Contábil(総称)などが実際に運用されています。

今回は、最新のSPED追加システムであるe-Socialについて、解説致します。

e-Social は、Decreto nº 8.373/2014によって正式に採択されたSPEDシステムであり、税務記帳・社会保障・労務義務に関するデジタルシステム(Sistema de escrituração digital das obrigações fiscais, previdenciárias e trabalhistas)という正式名称があります。

 

DECRETO Nº 8.373, DE 11 DE DEZEMBRO DE 2014

Art. 2º O eSocial é o instrumento de unificação da prestação das informações referentes à escrituração das obrigações fiscais, previdenciárias e trabalhistas e tem por finalidade padronizar sua transmissão, validação, armazenamento e distribuição, constituindo ambiente nacional composto por:

I – escrituração digital, contendo informações fiscais, previdenciárias e trabalhistas;

II – aplicação para preenchimento, geração, transmissão, recepção, validação e distribuição da escrituração; e

III – repositório nacional, contendo o armazenamento da escrituração.

e-Socialは、情報の伝送、確認、保管および配信、以下の機能で構成される統一システムである。

I – 税務、社会保障、雇用情報に関する情報のデジタル記帳

II – 記入、構成、伝送、受領、確認、配信と記帳の処理

III – 記録の貯蔵(リポジトリ)

 

e-Socialの主な構成は以下の通りです。

【全般フローチャート】

※Manual de Orientação do eSocial para o Empregador Doméstico(Versão 1.6.1)参照

 

企業は、それぞれe-Socialのシステムが要求する情報を適時登録し、それによって正確な雇用状況と労働状況をシステム上で把握することが可能です。今後のブログにおいて、e-Socialが要求する主な登録情報について解説致します。

 

私個人の意見としては、現在ブラジル政府が進めているSPEDによるシステム化は、企業に対して過度に負担の大きい取り組みであると考えます。もともとのシステム化促進の背景は脱税の防止であり、政府による管理・統制機能及びその能力の欠如を補完するために構築されたシステムです。確かに、SPED全般における目的や構成は合理的であり、理論上は有効に機能するでしょう。しかし、そもそも能力の欠如を埋めるシステムであるにも関わらず、該当法規や関連した規定への理解が困難であるため、正しい解釈とオペレーションを行うスタッフが不在となり、正しいシステムの運用が困難となり、結果、誤ったオペレーションを行うことに対する罰則規定(罰金)が適用されるという事態に陥ります。

企業にERP等の大規模な管理システムが導入されている企業にとっては、モジュールのアップデートによってe-Socialに比較的容易に順守することも可能であると考えられますが、そのようなシステムを有さない比較的小規模な企業にとっては、常にコンプライアンス違反を行うリスクを負いながらのオペレーションとなります。

これらのリスクを回避するためにも、e-Socialの対応事項整理やマニュアル作成を計画する際は、該当法規の確認と専門家の意見をもとに対応されることをお勧め致します。ご不明点・ご質問等が御座いましたら、是非弊社までご連絡下さい。

以上

 

 

 

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