源泉税(TDS)について

税務

日ごろから弊社ブログ記事をお読みいただき、ありがとうございます。本記事ではバングラデシュの源泉税(TDS)について解説していきます。

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<源泉税とは>

バングラデシュにはTDS(Tax Deduction at Source)と呼ばれる源泉税が存在します。給与は、会社が所得税を源泉し、その源泉所得税を、会社が毎月納付することになります。給与に関しては、日本と同様なので理解しやすいですが、バングラデシュには会社間のサービスフィーの支払等にも源泉税が課せられる項目もあります。例えば、オフィスの賃貸料や、車のレンタル料、コンサルティング・プロフェッショナルフィーに関しても源泉税が適用されます。この場合は、サービスの受益者が、サービス供給者への支払時に、TDSを差し引き、サービス料を支払うことになります。そして、サービスの受益者が納付することになります。


<源泉税(TDS/AIT)の基礎と最低法人税制度>

バングラデシュの税制には、TDS(Tax Deduction at Source)と呼ばれる源泉税制度と、特に企業にとって重要な前払法人税(Advance Income Tax:AIT)制度が存在します
TDSは、給与所得に対する源泉徴収だけでなく、会社間の取引においても広く適用されます。例えば、オフィスの賃貸料、車のレンタル料、コンサルティング・プロフェッショナルフィーなどのサービスフィーの支払い時にも源泉税が課せられます。この制度の大きな特徴は、サービスやモノの受益者・購入者(支払者側)が、対価を支払う際に税金を源泉徴収し、これを税務署に納付する義務を負う点です
AITは、業種によって異なる税率が売上に対して適用されます。最終的な法人税率(企業によって変動)を計算する際、AITとして支払った金額は控除(相殺)可能ですが、実務上は最低法人税(Minimum Tax)制度の存在が重要です
この制度では、AITとして支払った額と、利益に税率をかけた額を比較し、高い方が最終法人税となります(一部業種を除く)。AITは売上ベースで計算されるため、利益が少なくても一定の税負担が発生し、多くの場合、AIT額が最終法人税額を上回る結果となるため、バングラデシュでビジネスを行う際は、法人税を源泉納付することを前提とすることが不可欠です
最近では、2025年7月22日には繊維原料の輸入に対するAITが撤廃されるなど、制度は流動的です

<バングラデシュにおけるクロスボーダー取引と源泉税制度>

【主な対象項目と税率】

■ 利子(Interest)

  • バングラデシュからの利子支払いに対しては、原則として10%の源泉税が課されます。

  • ただし、**納税者識別番号(TIN)を持たない受取者に対しては、税率が加算(最大で1.5倍)**される場合があります。

■ ロイヤルティー・技術料(Royalties and Technical Fees)

  • 知的財産の使用料、技術支援費用などに対しては、10%の源泉税が一般的に適用されます。

  • 支払対象が外国法人・非居住者である場合も同様に課税されます。

■ 配当(Dividends)

  • 配当金の支払いに対しては、受領者のステータスにより源泉税率が異なります。

    • 非居住の法人最高20%

    • 租税条約締結国の法人15%

    • 株式の25%以上を保有する外国法人株主10%に軽減

    • 国外居住の外国人個人最高30%(ただし条約適用時は軽減あり)

  • 実際の税率は、租税条約の適用によりさらに軽減される場合があります(後述)。

【租税条約(DTA:Double Taxation Avoidance Agreement)】

バングラデシュ政府は、二重課税を回避し国際投資を促進するために、41カ国以上と租税条約を締結しています。これにより、対象国外への送金にかかる源泉税率は、条約に基づいて軽減または免除されることがあります。

  • 日本とバングラデシュは、1991年2月に租税条約を締結済みです。

    • たとえば、条約により配当・利子・ロイヤルティーに対する源泉税率は、10%〜15%に軽減されることがあります(具体的な適用率は保有割合や実質的所有者かどうかにより異なる)。

  • その他の主な条約締結国:米国、英国、インド、韓国、フランス、ド

  • イツ、タイ、マレーシア、シンガポール、カナダ など。

    【実務上の留意点】

    • 租税条約の適用を受けるには、事前に税務当局への届け出や、**居住証明書(Tax Residency Certificate, TRC)**などの証明書類の提出が必要です。

    • 条約適用をしない場合、**通常の国内源泉税率(最大30%)**が適用される可能性があります。

    • TIN(納税者番号)がない場合、標準源泉税率に**加算税(例:+50%)**が適用されるケースがあります。


<納付期日とコンプライアンス>

以下が、源泉税の納付期日とコンプライアンスとなります。

納付期日:支払後の翌月の2週間目まで

コンプライアンス:半期申告(課税年度が7月~翌年6月末の場合、1月31日(7月~12月分)、7月31日(1月~6月)が申告期日となります。)

 

半期申告時には、今まで納税した時の納付書コピーをすべて提出する必要があります。

 

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