皆さんこんにちは。東京コンサルティング・ベトナムの山口です。
<Q>
現在、就業規則を作成しております。労災について、通勤途中の事故には会社の責任が問われると思いますが、ベトナムには日本のような労災保険などはあるのでしょうか?
<A>
まず、国が行っている労災保険というものはありません。従って、労災保険加入を行う場合には、保険会社のサービスを利用する必要があります。
保険会社については、日本の保険会社もベトナムに投資をしており、最近では様々な商品を選択することができます。ベトナム国民にはあまり浸透していないものもありますが、このような保険は福利厚生の一貫となりますので、ベトナム人スタッフの退職率を下げることにも役立ちます。
なお、労災については、労働法上、144条、145条に記載がございます。
第144条 労働災害・職業病の被害を受けた被雇用者に対する雇用者の責任
1.医療保険に加入している被雇用者に対しては、被雇用者負担の費用、および医療保険が負担するリストにない費用を支払う。医療保険に加入していない被雇用者に対しては、応急処置・救急から安定するまでの治療費のすべてを支払う。
2. 労働災害・職業病の被害を受けて休業する被雇用者に対し、休業する治療期間の労働契約に基づく賃金を十分に支払う。
3. 本法第145条の規定に基づいて、労働災害・職業病の被害を受けた被雇用者に賠償する。
第145条 労働災害・職業病の被害を受けた被雇用者の権利
1. 強制社会保険に加入している被雇用者は、社会保険法の規定に基づいて、労働災害・職業病の制度を享受することができる。
2. 強制社会保険の加入対象である被雇用者は、雇用者が社会保険料を社会保険機関に納付していない場合、社会保険法の規定に基づいて、雇用者から労働災害・職業病の制度に対応する金額の支払いを受けることができる。支払いは、各当事者の合意により1回または毎月行われる。
3. 労働災害・職業病の被害を受けた被雇用者で、原因が被雇用者の過失によらず、労働能力が5%以上喪失した場合、雇用者は以下の水準で賠償を行う。
a) 労働能力喪失率が5%以上10%以下の場合、労働契約による賃金の尐なくとも1.5カ月分。労働能力喪失率が11%以上80%以下の場合、喪失率が1%上昇するごとに労働契約による賃金の0.4カ月分が加算される。
b) 労働能力喪失率が81%以上の被雇用者、または労働災害により死亡した被雇用者の家族に対しては、労働契約による賃金の尐なくとも30カ月分。
4. 原因が被雇用者の過失の場合でも、被雇用者は本条第3項で規定する水準の尐なくとも40%相当額の手当を受けることができる。